慢性腎臓疲労と糸球体高血圧。

夕方になると脚が浮腫んで、その浮腫みによる水分のせいで朝と夜の体重差が1㎏近くある場合や、夜寝てて3回以上お手洗いに起きて日中と変わらない量の尿が出る場合は腎臓に日頃から負荷がかかっていて慢性的に腎臓が疲れている可能性があります。そして、腎臓疲労が長期的に続くと慢性腎臓病に繋がる恐れがあるので注意が必要です。

腎臓疲労を防ぐにはまず、規則正しい生活をするとともにタンパク質摂取量の見直しが大切です。よかれと思ってお肉やプロテインなどを日ごろからあまり摂りすぎないようにせねばなりません。一日のタンパク質摂取量の目安は体重1kgあたり0.8g程度です。※年齢や筋肉量にもよる。

食事から摂取したタンパク質は腎臓で処理されて不要な老廃物は尿として排泄されます。タンパク質を摂りすぎると老廃物が多くなりすぎて腎臓に負担をかけるのです。

ただし、高齢者においては筋肉量が大きく減少して生活の質が下がるサルコペニアに注意が必要ですので、タンパク質制限はかえって良くない場合もあります。定期的に検診を受けて腎臓の数値をチェックすることが肝要です。

腎臓には細かい血管からできた糸球体がありその表面をタコ足細胞が覆っています。タコ足細胞は血液からのタンパク質流出を防ぎつつ、余分な水分、塩分、老廃物を濾過する働きがあります。糸球体の血管に動脈硬化が起きると糸球体高血圧を招きます。するとタコ足細胞が剥がれてしまい血液中のタンパク質が漏れて尿に混じるようになってしまいます。

たん白尿が出る方は、糸球体の動脈硬化とそれによる高血圧が生じている可能性があります。

同時に、塩分の過剰摂取もよくありません。血液内に塩分が多いと脳が判断すると腎臓に働きかけ、腎臓は尿から水分を再吸収して血液内の塩分を薄めます。その分、血液の量が増えます。増えた血液を再度、腎臓でろ過して尿を生成する際には強い圧が必要となるため、糸球体部にて高血圧が起きるのです。なので、何にでもおい塩、おいソース、おい醤油などをしてしまうような、しょっぱいものが好きな方は慢性的に腎臓を傷めつけていると言っても過言ではないのです。

糸球体高血圧を予防するには、食生活を見直すと共に、「適度な運動」も効果的です。運動により身体を動かすと、糸球体の出口のほうの血管が広がり血流が維持されてタコ足細胞の離脱を防ぐことができるのです。「適度な運動」とは息切れが起きないギリギリの強さです。慢性腎臓病の方は1日5000歩歩くと腎機能が向上しやすいです。

逆に、無酸素運動を伴う激しい運動は腎臓を痛めてしまうので行わないようにしてください。

なぜなら、腎臓は水分の再吸収を行う際に酸素をエネルギーとして使用するからです。慢性腎臓病の場合、ただでさえ腎臓の組織が硬くなって血の巡りが悪く低酸素の状態にあるのに、激しい運動をして酸欠状態になったら更に腎機能が低下してしまいます。 あと、お風呂上りや運動後などに水分を勢いよく大量に飲むのも腎臓に負荷を掛けるのでよくありません。まとめると、①タンパク質と塩分の摂取量に注意。②規則正しい生活を心がける。③水分の一気に飲みはなるべく避ける。③すでに腎臓疲労の方、慢性腎臓病の方は適度な運動を心がけて激しい運動はしない。④健康診断、血液検査は定期的に受ける。事などが肝要です。