無血刺絡で効果が出た症例集。舌癌手術後の首肩の張り感。

今回は舌がんの手術を数年前に受けられ、その後首肩がとても張ってしまってずっと痛くて辛いという症状です。

舌癌摘出のために顎から首にかけて切って縫った跡があり、その周辺とそこをかばって肩頚の筋肉も張ってしまったと考えられます。手術で切開するという事は、元は一枚でつながっていた部分を切って縫い合わせるという事で、これは組織的に全くもとの形に戻すことは出来ないのです。それにより筋肉のバランスが崩れたり血の巡りが悪くなりやすくなります。

例えば盲腸の手術でお腹を切った後からお腹と腰の筋肉のバランスが崩れて腰痛症状が発症したという症例もあります。…もっとも今では手術の方法も変わってきているだろうし、何より観血療法(手術)は患者様の命を第一に考えての最善の方法なわけでそれによる多少の不具合はどうしてもしょうがないということは多少なりともあるのではないかと思います。なのでそこに対して我々はどのようなアプローチが出来るのか、そしてそれを持ってどこまで患者様の症状を楽にして差し上げる事ができるのかという事がポイントになってきます。

そこで無血刺絡は、切って縫った後の傷口付近の突っ張りや痛み、違和感の解消に対して割と効果的であると僕は考えています。

なぜならば今回の症状で、傷口周辺と頚の筋肉の付着部に無血刺絡を行うことでとても症状が楽になったと患者様に仰って頂いたからです。今まで暖めやマッサージ、服薬などなにを行っても症状が楽にならなかったけれど無血刺絡の痛圧刺激でとても楽になったとの事でした。

無血刺絡は以前も様々なところで書きましたが、「チクっ」とする痛圧刺激を然るべき箇所に加えていくという療法です。それにより人体の反射を利用して副交感神経を優位にさせ、血管を開かせて内因性発痛物質を散らすという効果があります。

術後の傷口の周辺に行った無血刺絡の症例は他にもあって、手指の脱臼骨折を手術で治したという患者様が術後から何年も指のこわばりと浮腫みと痛みがあって整形のリハビリを受けていてもあまり改善しないという状態で無血刺絡を行うことで症状がとても楽になったという症例もあります。

なので逆に考えると、術後の傷口周辺は慢性的に突っ張てしまって血の巡りが悪くなっているという事が考えられます。そのような部位に対して暖めやマッサージという刺激を筋肉や関節に加えるよりも、自律神経に影響を与えるような痛圧刺激を用いて反射で血管を拡張させるという血管神経に対するアプローチが重要であると考えられます。


神楽坂 東五軒町鍼灸整骨院より
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