背部、側腹部、腹部の痛みの場合。

背部、側腹部、腹部が痛いという場合はどのように見立てていくか。整形外科で行ったレントゲンの検査では異常なしで、渡された消炎鎮痛剤も大して効いていない状態。

まずは痛む動きと筋肉の確認だ。この場合は体幹の回旋、前後屈、側屈の他に頚と肩回り、腰下肢の動きも見ていく必要がある。なぜならば筋肉と筋膜でつながっているからだ。その他にも肋骨の疲労骨折という場合もある。いくら医師が異常なしと判断したとて注意深く診ていく必要がある。

問診において内臓の状態を問うのも大切だ。過去現在で何らかのトラブルはないかを聞いておく。特に右の痛みなら肝臓、肺、胆のう、左ならば肺、胃、心臓。安静時痛の有無も重要だ。膵炎の場合も背部痛はあり、吐いても排便しても痛みは取れない辛い安静時痛がある。悪性腫瘍のための背部痛もしばしばみられる。ここ何年も病院に行ったり検診を受けていない方も注意が必要だ。

痛む部位が背部、側腹部、腹部となると筋肉、内臓以外で考えるならば神経支配領域だ。ここは肋骨と肋骨の間を通り、背骨から腹部へと支配している肋間神経がある。この場合、帯状疱疹の可能性を考えて皮膚の状態を確認するのも大切だ。以前、病院で異常なしと言われた方が腹部の痛みを訴えて来院したことがある。施術をしてその場は少し楽になったがやはり痛む。後日、腹部に発疹が出てきて再度病院を受診したら帯状疱疹といわれたとのこと。発疹がなければ医師であっても帯状疱疹と診断しようがなく、分かりにくい場合もあるのではないかと思ったことがある。帯状疱疹は普段神経節に潜んでいるヘルペスウイルスが宿主の免疫低下を見計らって表層に出てきて悪さを働く。最近忙しいかどうか、疲れていないか、免疫が落ちていないかなどを聞いておくのもヒントになるかもしれない。

骨と内臓に異常がなければ、筋肉、筋膜、自律神経、血管、神経にアプローチしていくことで楽になるはずだ。これで、完全でないにしろ何割か症状が楽になるようならばそれを続ける事で割と早期に痛みは止むと思われる。