頭痛の種類は大きく分けて3つ。筋緊張型頭痛、血管拡張型頭痛、群発性頭痛。この中で片頭痛は血管拡張型頭痛に分類される。何らかの作用が加わって浅側頭動脈が拡張して普段当たらない三叉神経の第一枝に当たってしまい拍動性の痛みがでる。簡単な片頭痛の症例ならば、浅側頭動脈を中庸に戻すように無血刺絡で働きかければ早期に症状の改善がみられる。しかし、それだけでは治らない場合はもう少し別のところを診ていく必要がある。
例えば顎。歯ぎしりをしていたり、奥歯の治療をしていたりする方が片頭痛の症状を訴えるケースが多い。もしそうならば、物を噛む咬筋を緩めていく。硬くて押すと痛い顎周辺の急所を押えた状態で拍動性の頭痛がどう変化するかを見る。もしもこれで頭痛が楽になるようならば、顎周辺の筋緊張や血流不良が関係している可能性は高い。その部分を入念にほぐし、無血刺絡の刺激を細かく加えていく。
歯ぎしりに関しては興味深い考え方もある。東洋医学では、上の歯は胃の経絡と、下の歯は大腸の経絡と関係しているとみる。なので、歯のトラブルで上の歯か下の歯かで使う経絡や経穴が違う。親知らずの強烈な痛みを肘のつぼを押しまくっていたら治まったという症例もある(自分自身)
あともうひとつ、これは話半分に聴いてほしい。東洋医学では、「右側」を女、感覚的、陰、「左側」を男、規則的、陽、と考える。例えば右側に耳鳴りや歯ぎしりによるすり減り、身体の痛みなど何らかの不調が出た場合は女性とのトラブルがありそれによるストレスで削られてる可能性がある。左ならば同じように男性との関りでストレスを抱えて無意識に体に負荷が掛り削られている可能性がある。
「陰陽五行説」という概念を鍼灸師は学校で習う。これは世の中の万物を全て木火土金水に当てはめてその繋がりを深く読み解いていく一種の指標のようなものだ。これには五臓六腑や感情も含まれている。肝なら怒り、心なら喜び、脾なら思い、肺なら憂い、腎なら恐れ。すなわち、それらの感情が強く頻繁に現れると対応した臓器に負担が掛かる。それによりその臓器への血液供給が下がる事で何らかの不調に繋がる。あらゆる感情が強くゆさぶられる要因は様々あるが対人関係によるものは大きいのではないだろうか。もしも日常的に、何らかの感情が強くそして割と頻繁に揺さぶられるようならば自律神経を通じて内臓が痛む可能性があるので注意した方がよい。そして身体に現れた原因がよくわからない症状は右に出ているか左に出ているか、それも注意深く観察してみて欲しい。