睡眠時無呼吸症候群について。

睡眠時無呼吸症候群は、呼吸の停止または浅い呼吸が10秒以上継続する、そしてそれが1時間のうちに5回以上ある、日中の眠気などの症状があるというものです。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、睡眠中に20から30秒は当たり前に呼吸が止まっている方が多いです。長いと1分近く呼吸が止まっている方もいます。そして重症の方は一晩でなんと500回近くも呼吸が止まっているのです。これは体に多大なる負担がかかります。

睡眠時無呼吸症候群の患者割合は、成人男性約5%、成人女性約2から3%です。女性の方が少ない理由としては、女性ホルモンのプロゲステロンが気道を広げる役割があるからだと考えられます。

寝てる時に自分の呼吸が止まっている事を患者さん本人が気づいていないことが多いです。
以下に睡眠時無呼吸症候群のチェックリストを示します。
1 大きないびきをよくかく
2 日中強い眠気や倦怠感に襲われることが多い
3 夜間トイレに起きることが多い
4 早朝頭痛が起こりやすい
5 高血圧で降圧剤を服用しているのに血圧が下がりにくい

気道が狭くなっているといびきをかきやすくなるし、覚醒頻度が高くなると脳も体も休まらず、日中も眠くなります。

そして、通常だと睡眠中は血圧が下がるのですが、無呼吸状態の時は血圧が高くなります。よってもともと高血圧の方は薬を飲んでいたとしても血圧が上がりやすくなり、無呼吸状態が続けば続くほど血圧が上がったままになるのです。

睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴として、メタボ(肥満)、妊婦、顎が小さい、鼻づまり、寝る前に飲酒する、閉経後の女性などがあります。

無呼吸症候群は寿命にも影響与えます。重度の症状を抱えている方は18年後に4割強の方が亡くなっているというデータが出ています。
※yong T et al Sleep 2008 31 1071 1078より

さらには、無呼吸による低酸素状態が脳にダメージを与えて認知症の発症につながる可能性も示唆されています。
もしかしたら自分が、家族が無呼吸症候群かもしれないと思ったら呼吸器内科か耳鼻咽喉科を受診してください。それか日本睡眠学会に記載されている睡眠の専門医を見つけて受診されることもお勧めします。

無呼吸症候群には終夜睡眠ポリグラフ検査というものがあります。これは1泊2日の入院で行う検査です。睡眠の質や、呼吸が止まった回数などを評価するものです。

治療法は生活習慣の改善、マウスピースの着用、シーパップ療法、舌下神経電気刺激療法などがあります。

マウスピースは軽症から中等症の方が行う治療法であり、下顎があえて前に出るような形のものを作成し装着します。

シーパップ療法は中等症以上の患者さんが適用で、特殊なマスクをつけて持続的に空気を送り続けると言う療法です。これをつけていると心筋梗塞や脳卒中のリスクも低下する事が示唆されています。

シーパップは持ち運びができるため、旅行や出張などでも使うことができます。

舌下神経電気刺激療法は、特殊な機器を胸に埋め込みそここから伸びているケーブルを舌の近くにある舌下神経にケーブルを巻きつけます。寝ている時の呼吸を感知して胸の機器から特殊な微弱電流が舌下神経を刺激して舌を前に出すことで気道を確保するという治療法です。

症状の頻度や重さによってそれらに対応した治療法があります。気になる事はなるべく早めに専門医の元を訪ねてください。