二ヶ月以上続く咳は風邪などの感染症ではない。
咳が2ヶ月以上続いたら感染症ではない原因の可能性が高いです。
8週間以上治らない咳を慢性咳嗽といいます。
その中で、約1割以上が難治性の慢性咳嗽で尚且つ、原因不明とされています。
難治性慢性咳嗽の種類
①治療抵抗性タイプ
病気が診断され、治療を行なっても咳が改善しないもの。
②原因不明タイプ
検査で原因を特定できなかった咳症状。
咳のメカニズム
気管や気管支、肺、耳、食道などにある受容体で異物を感知すると、それを迷走神経が延髄に伝えて咳反射が起きます。
咳が長引く理由
咳の受容体がある部位に慢性炎症があると迷走神経が過敏になって咳が起きやすくなります。
または、脳の機能異常により大脳が刺激の処理をしにくくなったり、咳を制御しにくくなる場合があります。
咳過敏症症候群
僅かな温度刺激、機械的・化学的刺激をきっかけに生じる難治性の咳です。
咳過敏症性症候群のきっかけ
気温の変化
乾燥した空気
気圧の変化
会話
煙草の煙
香水や料理のにおい
線香の煙
花粉
粉薬
など。
アレルギー性の咳との咳過敏性症候群との違い
過敏症性の咳と違ってアレルギー性の場合は、咳以外の症状が出るはずです。
例えば、鼻水、くしゃみ、かゆみ、皮膚症状など。
アレルギーは体内で抗体ができますが、過敏症の場合は抗体ができません。
対処法
自分がどこで、どのようなシチュエーションで咳が出るかを下がる事です。
そして、咳のきっかけを把握してそれを避ける事です。
長引く咳の場合
まずは病院へ受診してください。
そして、一般的な咳の原因がないかを調べてもらいます。
病名がつくならそれに準じた治療を受けてください。
それで良くなるならば、難治性ではないという事です。
しかし、良くならず、治療法や原因がわからないと医師に言われたら呼吸器内科を受診してください。
咳過敏症性症候群の治療法はまだ確立されていない?
今までは、プレガバリン、ガバベンチンなどの神経調整の薬が処方されていました。
しかし、これらは保険が使えず、様々な副作用がありました。
その他、中枢性の咳止め薬もありますが、これは効果が不十分であると同時に脳に作用します。
脳に作用すると、必要な咳反射も抑えてしまうデメリットがあります。
P2X3受容体拮抗薬
これは咳過敏症性症候群を抑えるのに効果的な日本由来の薬です。
P2X3とは、気道の内壁を通る迷走神経の末端にある咳受容体の一つです。
気道が様々な刺激を受けると、上皮に炎症が起きます。
それにより、ATPが作られます。
このATPがP2X3にくっつく事で、受容体が開きます。
そこから電気信号が生まれて、それが迷走神経内に浸透する事で信号が脳に伝わる事で咳が出る仕組みになっています。
拮抗薬は、ATPがP2X3受容体にくっつくのをブロックするのです。
効果
P2X3受容体拮抗薬の効果として、著しい効果を感じた人は25%です。
何らかの効果を感じた人を含めると73%です。
これは服用から、四週目以内に効き目を実感できるそうです。
しかし、この薬は対処療法であり、根治療法ではありません。
副作用
最も多い副作用は、味覚障害です。
甘いものを苦いと感じたり、味がわからなくなります。
臨床試験では、65.4%の人に味覚障害がでています。
※しかし、24週間服用してもらい、その中で服用しながら回復した人は25%、服用中止後2週間以内に回復した人は55%もいます。
つまり、80%くらいの方が治っているのです。
そして、服用をやめれば味覚障害は治ります。
様子を見ながら、服用期間を調整することが肝要なのでしょう。
薬以外でできること
咳が出そうな時に飲み物を飲む
ミント風味の飴をなめる
ゆっくりした呼吸を数分続ける
咳が出そうな時こらえてみることを繰り返す
など。
控えるべき事
カフェイン
アルコール
香辛料などの刺激物
ストレス
など。
慢性の咳症状には鍼治療や井穴刺絡療法が効果的なことがあります。
お辛い方は神楽坂東五軒町鍼灸整骨院へ。