抗がん剤治療中の瘀血と刺絡。

当院を受診される患者様の中には癌を患っていらっしゃる方もいる。あまり詳しくは書かないが、ある部位の癌でステージはⅣ。現在抗がん剤治療を受けている。

抗がん剤とは、癌細胞増殖を妨げて癌細胞を死滅させるための薬だ。抗がん剤は「殺細胞薬」ともいい、細胞の分裂に障害を与えて最終的には細胞を殺す。この時に、正常な細胞も危害をうけてしまう。特に影響を受けるのは身体の中で細胞分裂が活発な部位、口腔粘膜、消化管粘膜、骨髄、毛根などだ。これらの細胞が障害を受けることで、口内炎、下痢、脱毛、貧血などの副作用が起きる。抗がん剤治療は1~4週に一回、もしくは3日連続で行ってそれを1クール。それを3~6クール行ったりなど癌の状態にも異なる。内服と点滴タイプとある。1週目2周目と週数が進むとその時その時で様々な副作用がでてくる。三大癌治療、手術療法、薬物療法、放射線療法の内の抗がん剤治療は薬物療法に値する。たまに、抗がん剤は猛毒で自然に治そうとする免疫までも弱ってしまうからやめた方がいいとか、医者は自分が癌になったら抗がん剤を使わないとか言われたりするが、それらの話は僕自身専門医でもなければ抗がん剤をつくった研究者でもないので真意のほどは分からない。ただ、一つ言える事は、鍼灸師の立場として薬物療法や西洋医学を否定するようなことは決して言ってはいけないという事だとわたしは思う。そもそも今受けている治療を中止させる権限などないし、そんな事を少しでも言ったら患者様が混乱して不安になる。

鍼灸治療院における悪性腫瘍をお持ちの患者様への施術方針としては、西洋医学的な治療を継続しつつ、東洋医学的なアプローチで支え、表面に出ている症状に対応し、元気を補っていくというスタンスでいる。

さて、今回の患者様のお身体を拝見させて頂くと、お身体が全体的に強張り下肢の血流が特に悪く浮腫んでいた。全身を緩めて温め、無血刺絡の刺激と癌のある部位に通じる箇所からの井穴刺絡と背部兪穴からの刺絡を行った。刺絡の後は全身が軽くなり、下肢のむくみやだるさ重さが数週間楽だったと仰って下さった。

こちらがその時に出た瘀血。いつも見慣れている瘀血よりも何らかの水溶液が多くみられる。