むずむず脚症候群と無血刺絡と温冷療法。

むずむず脚症候群の特徴

主に脚がむずむずする。

特に夕方から夜。

その不快感ゆえに不眠の原因にもなる。

小児にもみられるが中高年の女性に多い傾向にある。

むずむず脚症候群は原因が良く分かっていない。

突発的起きる場合と、二次的な症状として起きる事がある。

むずむず脚の背景

二次的なむずむず脚というと例えば、鉄欠乏性貧血、慢性腎不全、糖尿病、パーキンソン病、妊娠中、薬剤に副作用など。

むずむず脚症候群は44,5%で家族性発現も認める。

ドーパミン不足

むずむず脚症候群の一番有力視されている原因の一つにドーパミン不足がある。

ドーパミンは神経伝達物質のひとつだが、これが少なくなると痛みや痒みに対する脳の抑制が弱くなるのだ。

鉄不足

さらに鉄の不足もドーパミン分泌不良に繋がる。

なぜならば、鉄はドーパミンをつくる元となる栄養素だからだ。

そして鉄分が十分にある事でドーパミンの働きはよくなる。

治療法

治療法は薬物療法が主体となる。

ドーパミンや鉄が少ないならばドーパミン系の薬や鉄剤が処方される。

症状により、抗不安薬や抗てんかん薬が処方されることもある。

下肢静脈の逆流

上記以外の原因で、下肢静脈の逆流の可能性も考えられる。

下肢静脈の弁の不具合などにより静脈血の逆流が見られる部位にむずむず感が現れやすい。

なので、その部位をピンポイントで治療するレーザー療法もある。

脚を動かさずにはいられない

当院にいらしたむずむず脚の患者様はまだ幼い小学生だった。

夜間のみならず、日中も脚がむずむずしている。

病院に行って薬を処方されたが、効果がなくさらに合わなかったのか吐いてしまったという。

当院いいらした時にその子は、「どうせ治せないんでしょ?」といっていた。

治りたいけど、治らない、何で自分だけ…などの思いが何巡もして今に至ったのだろうと思った。

夜はお母さんに脚をもって揺らしてもらわないとむずがゆくて辛いそうだ。

感覚の優先順位

脳には感覚の優先順位がある。

①運動、②触覚、③痛み、④冷覚、⑤かゆみの順だ。

一度に複数の感覚が身体に入力された際に、上位の感覚を脳は優先するようにできている。

だから、一番上位の運動覚で痒みを紛らわしているのだ。

無血刺絡の痛圧刺激。

まず、当院では無血刺絡の痛圧刺激を行った。

理論上、痒みよりも痛み刺激は上だ。

それに、むずむず脚の原因がもしも自律神経由来ならば無血刺絡で何らかの効果があるかもしれないと考えたからだ。

しかし、少しは和らいでもまたすぐにむずむずがでてきた。

いろいろ考えた。

人体を傷めないように、オーバートリートメントにならないよう注意しながら様々な施術を行った。

諦めたくなかったからだ。

探偵ナイトスクープのある回

以前、探偵ナイトスクープで「船酔いを100%止める方法」が紹介されていた。

これは、ひどい船酔い状態時、本人に認知させずに氷水をいきなりぶっかけるという方法。

背中と頭と陰部にかけるのだ。

これには芸人さん、テレビスタッフ、医師も同席して、皆一様に船酔いとなり吐いて、氷水で治っている。

本当に100%に回復率だった。

この現象に関してテレビでは、医師が自律神経に関係している可能性があるとしていた。

自律神経とアドレナリン

人はびっくりすると交感神経が優位になる。

交感神経が優位になると、副腎髄質からアドレナリンが出る。

アドレナリンが出ると「覚醒」するのだ。

病院で心肺停止状態や、アナフィラキシーショックで死にかけている患者さんにはアドレナリンを投与する。

覚醒させて蘇生するためだ。

アドレナリンが出るという事は生命が脅かされる危機的状況であり、、命の維持が最優先となり、それ以外のステータス異常が概ねクリアになるのだ。

例えば、頭痛、痒み、吐き気、腹痛など。

いわゆる覚せい剤のアンフェタミンやメタンフェタミンはアドレナリンと似た構造をしている。

前者は血液脳関門を通過して高い依存性があるが、後者のアドレナリンにはそれがない。

辿り着いた温冷療法

本人と家族に同意を得て、熱い蒸しタオルと保冷剤を交互にむずむず感がある部位(脛)に充当てた。

最初は、熱くて、冷たくて少しびっくりしていた。

2、3回交互に当てたあたりでむずむず感はどうか聞いてみた。

すると、全くしないとの事。

本人はあまり驚いていなかったが、付き添いのお母様が何度も何度も確認していた姿が今でも目に映っている。

そこから何日かは全くむずむずが出なかったとの事。

また症状が戻ってしまったが、今まで一度たりとも止まった事がないむずむずが温冷刺激により止まった事にお母様は驚いていた。

そこからは経過が追えなくなってしまったが、家でも温冷療法は継続するようにお伝えした。

むずむず感は人により様々であり、仕事や学業に支障が出る方もいる大変な症状だ。

だが、脳においてむずむずの優先順位は低い。

運動、痛み、温冷などの刺激の方が上なのだ。

まずはむずむず感をマスキングできる刺激を探す事が肝要である。

むずむず脚症候群で病院に行っても効果が得られなかった方は、温冷療法を試してみて欲しい。

慢性、急性症状には鍼や刺絡が効果的な場合がある。

お辛い方は神楽坂東五軒町鍼灸整骨院へ。