あきらめてはいけない、腱板損傷後のスポーツでの肩の痛み。





今回は腱板損傷後の肩の痛みの症例です。腱板損傷は棘上筋と棘下筋の二つが痛みやすく、この二つのいずれかが痛むと肩を横へ開く外転時痛が著明になります。今回の患者様の痛む動きは外転と挙上です。この二つの動きの痛みをいかにして軽減するか、さらにスポーツ(テニス)が出来るかどうかの所も重要なポイントになってくる症例でもあります。基本的にスポーツ復帰の目安で一番大切なのは「動かして痛いかどうか」というところです。今回の患者様は昨年腱板を痛めてしまい、その後に総合病院で治療及びリハビリを行っていたという状態です。マッサージや電気、その他の理学療法をリハビリで受けていても外転、挙上時の痛みがなかなか取れず、時間が経たないと治らないかなという日にち薬的な形で続けていたという状態です。
まず外転時痛は、尺沢という肘外側の急所を押えておくと痛みが軽減するという事が分かりました。さらに、前腕屈筋群の筋硬結部を手で押さえておくとかなり楽に外転が出来るという事が分かりました。手を離すと多少は痛みは戻るけれどもそこまで辛くなく、肩甲骨から腕の付け根にかけてが少し突っ張るとのことでした。そこで、肩甲骨から腋窩にかけて無血刺絡の痛圧刺激を加えていきました。すると、ツッパリ感がかなり解消したとの事でした。
次に挙上時の痛みです。こちらは肩の前方挙上の際に肩鎖関節あたりに痛みを感じるというものでした。三角筋部にも痛みがあったのですが、棘下筋と上腕三頭筋を緩める事で症状は消失しました。肩鎖関節部周辺の痛みというのは、棘上筋腱が肩鎖関節の下を通り上腕骨にくっ付いているので恐らく棘上筋腱の痛みであると思われます。ここに関しては棘上筋、肩鎖関節周辺に無血刺絡を行いました。それによりだいぶ挙上時の痛みも改善しました。
これで施術は終了して一週間後にいらして頂きました。
リハビリもかねて軽くテニスを行ったがさほど痛まなかった、テニス後は多少痛みは出たが前ほどではなくなってきたとの事でした。
腱板断裂ではなく損傷であれば、その程度にもよりますが運動時痛の改善は可能であると僕は思います。ただ、原因は回旋筋腱版のどこかだとしてもそこだけにアプローチをするのではなく、損傷部分と繋がりのある急所や筋肉をほぐしたり緩める事が重要です。
テニスなどのスポーツを行う際は痛むときは決して無理せず、プレイ後は必ずケアを受けるという事を行っていけば趣味で楽しむ分には問題なく出来るのではないかと思われます。