神楽坂/鍼・整骨・刺絡(症例)胆石と無血刺絡。

40代女性、右の肩と背中に違和感というか、重だるい不快感があるという状態でした。

特に運動時痛があるわけではなく、違和感が取れたことがないと仰っていました。

右肩の痛みで気になる事。

胆石が出来ると右の肩や背中に痛が出るといいます。

その他にも、何か内臓からの危険を知らせるシグナルなのではないかと思ってしまいます。

伺ってみると健診で小さな胆石が見つかったとの事。

しかし、小さいので経過観察といわれたそうです。

胆石とは?

 胃で消化された食塊を消化しやすくするため、胆のうから胆汁が分泌されます。

主に、油物の消化をスムーズにするために胆汁は精製、分泌されます。

そのため、油っぽい食事をしていると胆汁が濃縮されて結石化しやすいのです。

それと、女性はホルモンの関係で胆石が形成されやすいです。

エストロゲンは脂質に対して過剰に胆汁を排出させる傾向があり、黄体形成ホルモンは胆のうの運動を抑制する働きがあります。

よって、多く作られた胆汁が排泄されなければ結石化しやすくなります。

施術。

最初は、背中や肩などをほぐしたり温めたりしていました。

一時はそれで楽になり、症状が戻ってしまう…という事を繰り返していました。

背中の痛む箇所が、ちょうど肝兪、胆兪という肝臓と胆のうの反応点のあたりとでした。

そこから、もしやと思い右の季肋部あたりから肝臓を触れてみました。

季肋部から少しだけ肝臓を触れる事ができるのです。

触れられる部分の中で、硬い部分や押すと痛い所を探っていきました。

すると、ある一点を押すといつも違和感や痛みがあるところに響く部分を見つけました。

なので、そこに持続圧をかけなるべく柔らかくなるまでほぐして緩めました。

そして背中の左右の胆兪、肝兪に皮内鍼を入れました。(置き鍼の一種)

この時は、かなり症状が和らぎいつもより楽との事でした。

無血刺絡。

その後も何度か効果の出た上記の施術を行いました。

かなり楽にはなるけどやはり戻ってしまう…という一進一退が続きました。

そこから暫く経ち、あるタイミングで無血刺絡の理論と実践方法を長田先生に習いました。

簡単に説明すると、痛圧刺激を経穴、神経、脊柱、内臓付近に与えるという療法です。

それにより、血流を促進させ発痛物質を散らし、自律神経を介して内臓含め全身を調整する効果が見込めます。

施術。

無血刺絡は、左右の胆兪、肝兪、筋縮、中枢、魂門、陽網、右季肋部の肝臓付近、右肩の経穴全般に行いました。

かなり痛いとおっしゃっており、全体的にフレアー現象が起こりました。

フレアー反応とは血管が開いている証拠です。

これで施術を終了し、皮内鍼なしで様子を見てもらいました。

経過。

次は2週間後に来院され、症状が気持ち楽になったと感じるとのこと。

その後も、今まで週に1から2回の来院頻度でしたが、1か月に2から3回くらいになり、あまり症状が気にならなくなってきたとおっしゃっておりました。

 

胆石の方は、特に大きさなどを定期的に検査したりしているわけではないようで(特に医師にもいわれていない)その後の経過は分かりかねます。

しかし、背中と肩の症状が緩和されてきたならば、無血刺絡を含む施術は効果的だったと考えられます。

症状の原因はホルモンの働きなどによる、胆汁の生成過多、胆のうの動き抑制など、肝胆の動きの悪さにあったのではないかと思います。

それにより、周辺に影響を与えて背中の筋肉にも波及したのではないかと考えられます。

病院でも異常なしと言われていますので、確実な事は言えませんが、無血刺絡の痛圧刺激が自律神経に作用して、肝胆含む内臓が調整されて内側から良い作用をもたらしたのではないかと僕は考えています。

自律神経を介して内臓へアプローチする。

無血刺絡の刺激は基本的には副交感神経を優位にして、血流促進を促します。

これは、井穴刺絡で肝胆の井穴にアプローチして瘀血を排出しても効果的だったかもしれません。

あるいは、肝胆周辺の背中にある兪穴に刺絡を行っても良かった可能性が高いです。

両方とも自律神経に作用するし、内臓への血流促進を促すからです。

ですが、瘀血排出の刺絡は文字通り血を出します。

無血で最大の効果が出るならばそれに越した事はないです。

鍼、刺絡、ほぐしなどの施術は慢性症状に効果的な場合があります。

お辛い方は是非、神楽坂東五軒町鍼灸整骨院へお越しください。