60代男性、ゴルフで痛めた上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)の症例です。
上腕骨内側上顆炎とは。
上腕骨内側上顆とは、小指側の肘内側部の事です。
そこは、手首を手掌側に曲げる前腕屈筋群の付着部です。
症状は手首の屈曲時、ゴルフクラブとボールが当たる衝撃が肘に響いて痛むという状態です。
かなりひどい内側上顆炎だと、腕を軽く揺らしただけで痛いという方もいます。
今回の患者様はそこまでではありませんが、運動時痛と痛みが確実にある状態です。
施術。
まず、前腕屈筋群、上腕二頭筋をほぐして指の筋腱のストレッチを行いました。
指の筋腱は非常に硬く、90度まで反らない状態でした。
指反らしのストレッチをすると、手のひらが真っ赤になります。
掌の指を曲げる腱とそれを包む筋膜周辺の血管が開いて、血液が行き渡っている証拠です。
次に、内側上顆の痛みがある局所と、前腕屈筋群に無血刺絡の刺激を加えて血管を開きました。
これだけでも先程より痛みが緩和しました。
最後に、肘内側を支配している大元の神経の出口であるC8(頚椎と胸椎の間)にも刺激をしました。
すると先程よりもさらに楽で、もうほとんど痛みを感じないとの事。
インパクトの衝撃。
ゴルフクラブで誤って地面をたたいた時、ボールとクラブがぶつかった衝撃で痛む症状はしばらく続きます。
これは、局所の炎症が治まるのを待つと同時に、深層の筋肉を十分に緩め、関節を安定させてインナーマッスルの動きを良くする必要があるのです。
衝撃は骨と骨に一番近い深層筋が受け止めます。
深層筋の疲労や硬さは怪我に繋がりやすいです。
なぜならショックを受け止める柔軟性が少なくなっているからです。
①インナーマッスルを和らげる。
②鍛えて関節部を安定させる。
③そのうえでアウターマッスル(浅層筋)を鍛えて上から保護するのです。
レストをしながらこれ等の工程を遂行するには1か月くらいはかかると思います。
それまで衝撃がかかる動作は行わない方が賢明です。
血流がすべて。
痛んだ細胞のリカバリーには血液が必要です。
無血刺絡の痛圧刺激は、血管を拡張させる働きがあります。
血液に乗せて酸素や栄養分を痛んだ細胞に送り届けると共に、老廃物と二酸化酸を回収して循環を良くするのです。
オーバーユーズの筋細胞はいうなれば、慢性的な血流不足です。
内側上顆炎は、ゴルフなどの手首が内に曲がる動作をたくさんすることで筋付着部に炎症が起きる、オーバーユーズを主体として起きる病変です。
勇気ある休養。
オーバーユーズで痛んだ細胞を早く回復させるには、血流促進とレストが一番です。
休む時はしっかり日数をかけて休んだ方がリカバリーは早いです。
サポーターやテープもいいですが、使い続けると「それ在りき」になり筋肉が弱ります。
レストして損傷部位を使わないならば、保護は必要ないでしょう。
急性の痛みや慢性症状には、鍼や刺絡が効果的です。
お辛い方は是非、神楽坂東五軒町鍼灸整骨院へお越しください。
