消化管疾患シリーズ。胃ポリープ、胃下垂、胃神経症、十二指腸憩室などについて。

皆様こんにちは。

今日は胃、十二指腸などのいくつかの症状について書いていきます。

 

1 胃ポリープについて。

胃ポリープは、胃粘膜に発生する良性腫瘍で、癌化はまれです。症状は特になくて、検診や他の目的で行われた内視鏡検査などで偶然見つかることが多いです。

ポリープの表面から出血することがあるのですが、それがひどくなると鉄欠乏性貧血になることもあります。

なので、原因不明の鉄欠乏性貧血の場合は胃ポリープを疑うこともあります。

 

2 胃下垂について。

健診などで指摘される病名ですが、必ずしも疾患というわけではないようです。胃透視検査で、胃大彎(胃の下の方の大きなふくらみ部分)が骨盤腔内にあるものを胃下垂1度。

胃角部(胃の幽門近くの約90度に曲がった部分)が骨盤腔内にあるものを胃下垂2度。

十二指腸球部(幽門の先)が骨盤腔内にあるもの胃下垂3度といわれます。

一応このように分類はありますが、度が上がるほど症状が強くなるというわけではないそうです。

 

3 胃神経症について。

胃神経症というものは実態がありません。検査所見では明らかな異常がないにも関わらず、上腹部の不定愁訴を訴える場合に診断名として付けられることが多いです。臨床では、慢性、急性胃炎と明確な区分はないようです。

定義としては、「上腹部の不定愁訴が4週以上持続し、局所病変や原因となる全身性疾患がないもの」とされています。

原因としては、胃の機能異常が想定されており胃神経症や、急性慢性胃炎と同じものと考えられています。

予後は良好で、治療法は消化管機能改善薬や抗コリン薬(副交感神経遮断薬。副交感神経が優位になると胃が活発になる。つまり胃液がでる。なのでそれを防ぐ薬)などの投与の他、全身的な精神心理療法も行います。

 

4 十二指腸憩室について。

こちらも健診などでしばしば指摘される病名です。

他の部位の憩室と同様に、十二指腸の壁の一部が袋状に突出したものです。基本的に症状は特にないです。しかし、大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)の近くに憩室が出来ると、近くにある胆管、膵管を圧迫して閉鎖性黄疸を起こすことがあります。普通は無症状のままに経過しますがまれに出血することがあるようです。

 

大きな病気じゃないにしても、健診などで上記のようなことを診断されると少し驚いてしまいます。しかし、小さな変化や異常を定期診断で見つけてもらって適切な対処をする。早期発見早期治療は大切です!