
こちらの患者様は、首の痛みと手に痺れがあり、病院で頚椎症と診断されています。
整形外科の治療方針。
頚椎症に対して、整形のリハビリテーション科では牽引や電気治療、マッサージなどを行います。
症状がかなりひどい場合は、マッサージなどはできません。頸椎カラーを装着して安静にして、痛み止め薬や注射、ビタミン剤の処方がなされます。
上記の組み合わせの治療を数ヶ月行っても、症状が全く変わらなくて当院へお越しくださいました。
リハビリテーション科の盲点。
僕は依然、整形のリハビリテーション科に勤務していました。そのため、どのような診断を受けたのちにどのような施術をするのかは知っています。
そして、セラピストが抱えるジレンマについても知っています。
それは患者様にとって必要な手技や調整が病院のリハ室では自由に施せないという事です。
その理由は主に「保険の点数に加算できない。」「ガイドライン以外の事はできない。」「万が一の事があれば医師の責任問題になる。」からです。
国家資格を取っても、整形では自由に鍼は打てませんし、テーピングなどもできません。今思えば当たり前ですが、医師の指示以外の事は絶対に行ってはいけないのです。
実践で発揮する技術。
整形で働いていた当時、僕は痺れは良くならないと思っていました。先輩スタッフも特に効果を出せず、それを当たり前のようにしていたからです。
しかしその後、鍼灸院や整骨院で修業し、痺れの緩和は不可能ではない事を知りました。
全症例において有効だとは断言できませんが、然るべきアプローチで痺れの緩和は起きるのです。
痺れの緩和は不可能ではない。
手や腕などを支配している神経は頚の骨と骨の間から出ています。
その神経の出口周辺が何らかの影響を受け痺れや痛みが出るのが「頚椎症」です。
レントゲン撮影で、椎間関節の狭小化が確認されたり鑑別テスト法に基づいて医師は診断していきます。
神経に栄養を送る。
神経周辺の筋肉などの組織が硬くなると神経を栄養している血管の血流が悪くなります。
それにより、痺れや痛みが出るケースがあります。これであれば、然るべき部位を緩めて血流を良くすれば痺れが改善する可能性は高いです。問題は「然るべき場所」です。
神経には場所によって感覚を強く感じる部分があります。
そのような箇所を経穴(ツボ)ともいいます。さらに、経穴同士の繋がりもあります。
その繋がりを正確に利用し、痺れの部位から離れた場所の刺激で症状緩和を図る事もできます。
あと、人体の反射を利用しある箇所を刺激すると副交感神経というリラックスの神経を優位にさせ、局所の血管拡張を促すこともできます。
他にも、神経の出口付近の急所を刺激し、普段感じている痺れや痛みをマスキングして緩和させる方法もあります。
動かしながらのほぐしも有効。
それらの方法などを組み合わせ施術を行っていきました。最初にどの方向に首を動かすと症状が出るか確認して、様々な箇所にアプローチを加え一番楽に動かすことが出来るポイント、または症状を感じなくなるポイントを探していきます。
そのような効果のあるポイントを見つけて刺激を加え、あえて苦手な動きを楽な状態(症状が出ない状態)で行って、調整をしていきます。
個人差やお身体の状態にもよりますが、こちらの患者様は週に2回いらして頂いて一カ月で3つある苦手な動きのうちの2つが改善されました。
物理療法機器と薬で楽になるならいいですし、それらが必要なフェーズや状態もあります。ですが、なかなか痺れや運動時痛の症状が変わらない方は是非一度当院へお越しください。