骨粗鬆症とサルコペニア

女性は閉経前後にかけてエストロゲンが減少し、それにより骨の代謝サイクルにアンバランスが生じて骨が脆くなります。

そのため、一般的には男性よりも女性の方が骨粗鬆症になりやすいといわれますが、男性も安心してはいられません。

50代は注意

男女共に50歳にさしかかるあたりから骨量が大幅に減少し始めるのです。
そして、筋肉量も40代くらいから特に女性は急激に落ちてきます。筋肉量の減少と骨密度の減少には相関関係があります。

骨粗鬆症の患者さんはかなりの確率でサルコペニアでもあるのです。サルコペニアとは筋肉が萎縮して衰えている状態の事をいいます。

骨粗鬆症とサルコペニアを招く共通要因①

冒頭で述べたエストロゲンですが、これは骨細胞の維持増殖に関わると同時に、筋肉を作ったり修復する効果も併せ持っています。

そのため、エストロゲンの減少は骨と筋肉両方を弱らせてしまうのです。

骨粗鬆症とサルコペニアを招く共通要因②

ビタミンDは骨を強くするためのカルシウムを吸収するために大切な栄養素です。

紫外線を浴びて皮膚で合成されたり、食事を通じて腸管から吸収されて骨に入り功を成します。筋肉にもビタミンD受容体があり栄養として使われるのです。

よってビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が少なくなって骨が弱くなり、筋肉の材料が不足して筋肉も弱くなるのです。

骨粗鬆症とサルコペニアを招く共通要因③

最後の3つめは運動です。骨と筋肉に機械的な刺激が加わらないと骨の新生がなされにくくなります。無論、運動や筋トレをして筋細胞をいい具合に痛めなければ筋細胞も増えません。

若くても運動不足の方は注意

実は骨粗鬆症とサルコペニア両方罹患している人達は、お年寄りではなく40代50代なのです。
これは、若い時からあまり運動をしていなくてもともと筋肉量が少ない方である可能性が考えられます。
運動が嫌いとか、運動習慣が若いうちからない方はのちに苦労するのです…。

運動するならジャンプ運動とウォーキング

骨量と筋肉量を維持するには然るべき栄養を取って、外に出てある程度紫外線を浴びて、運動する事が肝要です。
特に運動面では、ジャンプ運動が良いとされています。
例えば、バレーボール、ハンドボール、縄跳びなどです。

なぜジャンプがいいのか?

これは、骨の長軸方向に強い衝撃が加わる事で骨をつくる骨芽細胞にシグナルが伝わり骨の新生サイクルを促す事ができるからです。

なぜウォーキングがいいのか?

あと、閉経後の女性を対象にした研究で、1週間に4時間以上のウォーキングをした人は1時間未満の方と比べて、大腿骨頸部(太ももの付け根)の骨折が41%減少したという結果が報告されています。
ただし、高齢の方は先に述べたジャンプ運動もそうですが決して無理のないようにしてください。

高齢の方の転倒リスク因子

高齢の方はとにかく転倒に気をつけなくてはいけません。
高齢者の転倒リスク因子を以下に示します。

転倒歴がある16
バランス障害15
筋力低下   9
視力障害   8
薬剤     8
歩行障害   7
うつ状態   6
めまい    8
※数字は因子を検討した文献数
※Tinetti et al JAMA 303 258 266 2010より

上にあるほど重要な因子です。少なくとも、バランス障害や筋力低下ならば運動療法で防ぐことができます。

骨の形成に必要な栄養素と量

骨を丈夫にするには、何はともあれカルシウムとビタミンDです。
カルシウムの1日推奨摂取量は700から800mg
ビタミンDの1日推奨摂取量は15から20μgが必要とされます。
※骨粗鬆症の予防とガイドラインより

カルシウムを多く含む食材

牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆、大豆製品
吸収率は牛乳がいいのですが、牛乳のみて必要量摂ろうとすると3から4杯飲まないといけません。
カルシウムを摂るなら色々な食材を食べるのがいいですが、干しエビは10gで710mgカルシウムが摂れるので良いようです。

ビタミンDを多く含む食材

魚類、特にさんま、さけ、いわし、きのこ、乾燥きくらげ
さけならば、一切れ80gで25μgとれてしまいますのでおすすめです。