微小循環の生理
全身に分布している微小循環の中で1番大事なのは、毛細血管の手前で小動脈から小静脈に変わる部分です。これは小動静脈吻合(クローミュー)といいます。
寒さなど何かの原因で末梢の毛細血管が収縮すると血液はこのクローミーを通って直接、小静脈脈に流れ込むシステムになっていて、なるべく血液が鬱滞しにくい構造になっているのです。毛細血管と動静脈吻合がお互いに協力して美笑循環、ひいては全身の血液循環が順調に行われるようにコントロールしているのです。
微小循環は毛細血管とクローミューの働きは、不摂生な食べ物、アルコール、糖質などの影響を受けます。アルコールの過剰は動脈硬化を促進し、クローミューの硬化や変質を招き、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、腎疾患などの原因となるのです。
白砂糖を過剰に摂ると糖尿病のリスクが増えるばかりか、クローミューの消失、軟化、萎縮を招きます。それにより糖尿病による血管障害、皮膚病、脳梗塞、狭心症などにかかりやすくなるのです。
一度、局所の部位で血流障害が起こると、上流と下流にも血流障害が起きます。そのため刺絡をしたり針治療を行う場合、局所だけでなく全身の血流が改善されるようアプローチし、努める必要があります。
特に何らかの皮膚疾患がある場合、皮膚の末梢血流障害により瘀血が発生し、皮膚の細胞の慢性的な栄養障害、水分不足に陥っている可能性があります。
血流障害に陥った部位に刺絡をしたり、あるいは手足末端に井穴刺絡を行って全身の気血の巡りを改善することにより、症状緩和を目指すのです。何にしても、慢性的な症状でればあるほど、気血の巡りを良くする事が肝要です。
静脈血の流れは筋肉運動によってスムーズに行われるようになります。静脈血の圧は動脈に比べて低いですが、血管内に弁がついていて逆流防止がなされています。筋肉運動により筋肉の収縮と弛緩のために静脈に血流が促進されます。さらに、筋肉運動によって血液の中からブラジキニンが分泌されます。ブラジキニンは血管の内皮細胞に働いて、一酸化窒素を分泌して血管を拡張し血流を良くする作用があるのです。このブラジキニンの働きは筋肉運動により3〜日間は持続して分泌されると考えられています。
まとめると、筋肉運動は静脈の流れの障害である瘀血を散らし、瘀血を予防する効果があります。