更年期障害の症状は肩こりや頭痛、ホットフラッシュの他にも100~200くらい様々なものがあるとされています。
40代の女性は41%、50代の女性は28%の方が途中で治療を辞めています。
※厚生労働省 更年期症状に関する意識調査2022より
途中で通院をやめる理由の一つに、症状が多岐に渡ることでキリがないからというものがあると思います。
検査で異常が見られない
更年期障害の症状には、多汗、匂い過敏、関節痛などがありますが、その多くは検査で原因が見つかりません。
それがストレスになったり、ドクターショッピングといって何件も病院を変える事になる場合も多いです。
症状の種類
「症状が多岐にわたる」と書きましたが、大きく三つに分類する事ができます。
①血管運動神経症状
ホットフラッシュ、動悸、息切れ、腰や手足の冷え、発汗、寝汗、むくみ。
女性ホルモン(エストロゲン)が減少する事で自律神経が乱れ、血管の収縮拡張のコントロールがうまくいかなくなる事が原因です。
②精神神経症状
イライラ、不安感、気分の落ち込み、うつ、不眠。
脳内神経伝達物質の働きが、エストロゲンの減少により不安定となる事が原因です。
その他、4〜50代では職場での立場が変化して責任が重くなったり環境の変化がストレスとなり、それが脳内神経伝達物質に影響を与える事も考えられます。
③身体症状
肩こり、腰痛、尿失禁、背中の痛み、頭痛、めまい、しびれ、手指の変形、喉の渇き、月経異常、倦怠感。
エストロゲンは、血管のしなやかさ、骨の丈夫さの他、目、皮膚、筋肉、乳房、膀胱などあらゆる組織に影響しています。
そのため、エストロゲンが足りなくなると様々な組織や機関がマイナスの働きをしてしまいがちになるのです。
自分はどのタイプか
上記の3つのタイプのどれに自分は当てはまるかを知るのも一つです。
全て当てはまるならば、どの傾向が強いかだけでも把握すると良いでしょう。
具体的な治療法
ホルモン補充療法、漢方、睡眠導入剤、向精神薬、サプリメント、食事療法、運動療法、はりきゅう、カウンセリング、生活習慣の改善などがあります。
タイプにより大きく効果を発揮するものもあれば、組み合わせにより効果的なものもあります。
SDM
SDMはシェアード、ディシジョン、メイキングの略です。
これは患者さんと医療従事者が話し合いながら治療方針を決めていくという意味です。
治療法とその組み合わせは、無数にあると言っても過言ではありません。
自分にぴったり合うケアの方法があるはずです。
SMIスコア
10項目の点数を記入する事で症状タイプの傾向がわかります。
まずは症状の整理を行い、見える化し、客観的に捉えるのです。
①顔がほてる。
②汗をかきやすい。
③腰や手足が冷えやすい。
④息切れ動悸がする。
⑤寝つきが悪く眠りが浅い。
⑥怒りやすくイライラする。
⑦くよくよしたり鬱になる。
⑧頭痛、めまい、吐き気がよくある。
⑨疲れやすい。
⑩肩こり、腰痛、手足の痛みがある。
これらの項目に、強、中、弱、無でスコアをつけていくのです。
①から④までの症状が強ければ、血管運動神経症状です
⑤から⑦が強ければ精神神経症状です。
⑧から⑩が強ければ身体症状の傾向が見られます。
問診で聞く事
・月経について。
・生活環境やストレスについて。
・症状が起こる回数、辛さの度合い。
・泌尿器症状の有無。
・最も悩んでいる症状について。
などです。
絡んだ症状の糸を一つ一つ丁寧に解いていくようなイメージです。
