ホットフラッシュとホルモン補充療法。

近年、更年期障害にはタイプに合わせた様々な治療薬があります。
適切な症状に合わせた処方が大切で、誤った薬を良かれと使っていると治らないばかりか悪化する可能性もあるのです。

更年期障害の3タイプ

主に、血管運動神経症状、精神神経症状、身体症状の3つに分けられます。

更年期障害が気になる方はまず、自分がどのタイプなのかを把握する事が大切です。
※詳しくは、一個前に書いたブログを参考にしてください。

ホルモン補充療法

治療薬の一つにホルモン補充療法があります。
血管運動神経症状タイプには非常に高い効果が期待できます。
精神神経症状タイプにはそれなりに高い効果が期待できます。

身体症状タイプは症状によってまちまちです。
ホルモン補充療法は、血管運動神経症状タイプの第一選択肢です。
投薬開始2〜3週で効果が見え始めます。
ホルモン補充療法は、エストロゲンが含まれたパッチがあります。
これを下腹部に貼る事で、ホットフラッシュなどの症状が軽減する事が多いです。

ホットフラッシュ

汗が大量に出てしまうホットフラッシュは脳の神経細胞よ誤作動で起きます
脳が勘違いして身体が熱いと認識してしまうのです。
閉経前は、脳の視床下部から卵巣にエストロゲンを出すよう命令が行く事で卵巣から正常にエストロゲンが出ます。エストロゲンが出ると、キャンディニューロンという神経細胞が脳内に出ます。
このキャンディニューロンのおかげで脳はエストロゲンが正常に出ている事を認識して、身体の恒常性を保つのです。
しかし閉経後は脳の視床下部が、エストロゲンを出すよう卵巣に働きかけ続けるのです。
それにより、キャンディニューロンが暴走します。
視床下部は体温調節中枢です。
キャンディニューロンが暴走する事で、脳は身体が高温状態にあると勘違いをして、冷却させるために大量の発汗を促すのです。
それを止めるためにエストロゲンを補充してキャンディニューロンの沈静化を図るのです。

ホルモン補充療法の主な副作用

不正出血、乳房の張り痛み、胃のむかつき、吐き気、血栓症などです。
※血栓症はごく稀です。
副作用はホルモンが体に入る事で起きる反応で、これらの多くは1〜3ヶ月程度で治ります。
以前はホルモン補充療法と乳癌のリスクが懸念されていましたが、最近の研究で影響はごく僅かであることが明らかになっています。

専門医の元、様子を見ながら適切に服用することが肝要です。
その他、乳癌、脳卒中、心筋梗塞にかかった事がある方はホルモン補充療法が受けられません。
喫煙、肥満、閉経から10年以上経過した方も服用には注意が必要です。

漢方

更年期障害には漢方もしばしば用いられます。
桂枝茯苓丸はホットフラッシュ、のぼせ、ほてりなどの血管運動神経症状に高い効果が見込めます。
加味逍遙散は不安、睡眠障害など精神神経症状に高い効果があります。
当帰芍薬散は肩こり、めまい、疲れやすさなどの身体症状に高い効果があります。
しかし、漢方は体質により若干処方や組み合わせが異なる事があります。
※漢方薬と言えど、長く使うと高血圧や腸に影響を与える事もあります。適切な医師の指示のもとに服用する事が大切です。