2025年10月からOTC医薬品が薬局やドラッグストアで購入可能になります。
OTCとは、Over The Counterの略で、医師の処方箋がなくても買える事を意味します。
OTC医薬品の例として、イブプロフェン、ロキソプロフェン、ステロイドなどがあります。
そして、緊急避妊薬であるレボノルゲストレンも承認されました。
レボノルゲストレン
これは、女性ホルモンである黄体ホルモンに作用します。
主な効果は排卵の抑制や遅延です。
排卵が起こる直前に卵巣内で一つだけ大きく育った卵胞から大量の卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。
その影響により、脳の下垂体からLH(黄体形成ホルモン)が子宮内に大量分泌される事で排卵が起こるのです。
黄体形成ホルモンが大量に分泌される事をLHサージといいます。
逆に言うと、LHサージが起きなければ排卵は起こりません。
LHサージが起こる前にレボノルゲストレンを服用すると、LHの分泌が抑えられて、LHサージが起こらないのです。
よって、レボノルゲストレンは排卵を抑制、遅延させる事ができるのです。
当然、排卵後に飲んでも効果はありません。
いつ何回飲むのか?
服用回数は一回のみで、一回一錠です。
性交後なるべく早く、遅くとも72時間以内に飲まねばなりません。
購入の際には、この薬剤に関して研修を受けた薬剤師による対面販売が必須です。
なので、薬剤師が必ず勤務しているお店を選ぶ必要があります。
薬剤師との問診では、年齢や普段飲んでいる薬、持病の有無などが聞かれます。
注意点
レボノルゲストレンは、肝臓に重い障害があったり、すでに妊娠している場合、性器出血がある人は服用できません。
その他、抗痙攣薬、抗菌薬などはレボノルゲストレンの効果が低下する可能性があるため、飲み合わせに注意が必要です。
レボノルゲストレンは、基本的に薬局の薬剤師の指導を受けて、薬剤師の目の前で服用する流れになります。
それは、不正にこの薬が使われる事を防ぐためです。
そして、服用後3週間後に妊娠検査薬の使用、医療機関の受診により妊娠の有無の確認をせねばなりません。
副作用
個人差はありますが、頭痛、吐き気、乳房の痛みなどです。
基本的にこれらは一時的なものです。
OTC医薬品の分類
特定要指導医薬品である緊急避妊薬、要指導薬の風邪薬、第一類の胃腸薬、毛髪用薬などは薬剤師のみが販売可能です。インターネット販売は不可です。
第二、第三類の医薬品(風邪薬、解熱剤、胃腸薬、ビタミン剤など)は薬剤師または登録販売者でも販売できます。
インターネットでの購入は可能です。
受精の仕組み
一応、受精の仕組みについても書いておきます。
女性の体の卵巣は左右で二つあります。
左右の卵巣内では卵胞が卵子を作って育てています。
いくつか育った左右の卵子の中で、一番大きな卵子が選出されます。
これは生理周期の度、毎回です。
それはまるで紅組と白組の戦いの如く、大きな卵子を作るのは右の卵巣か左の卵巣かを競うのです。
右が勝つこともあれば左が勝つこともあります。
どっちが勝つかはランダムであり、今のところ法則はありません。
選出された一番大きい卵子は、卵胞と卵巣の殻を破って外に出ます。
外に出た卵子は卵管采という「手」に捉えられて卵管に送られます。
その後、卵子は卵管膨大部という部分に落ち着き、精子の到着を待つのです。
右の卵巣で生まれた卵子ならば右の卵管膨大部、左なら左の卵管膨大部です。
精子の戦い
精子の数は八千万から一億です。
膣内は酸性であり、まず多くの精子がここで死にます。
その中を生き残った精子は子宮内に入ります。
酸から逃れるため粘性のバリアを纏っていた精子ですが、子宮内ではフォームを変えてサラサラになります。
その後、精子は左右の卵管へ進みます。
例えば左に卵子がいた場合、右に進んだ精子は死にます。これは完全に運です。
運よく卵子がいる方向に進んだ精子たちは、卵子が放つ特殊な信号をキャッチして確実に卵子に付着します。
まるで椅子取りゲームの如く、卵子に付着した精子の中からたった一匹だけが卵子内に入り受精がなされるのです。
受精できなかった精子のその後
受精したその瞬間、卵子の細胞は特殊な電位に切り替わり他の精子は一切侵入が出来なくなります。
これは一つの卵子に複数の精子が受精するのを防ぐための防衛反応です。
残った精子は、自らの寿命が尽きるまでその辺をうろうろするしかないのです。
そのうち、邪魔者で害と見なされ免疫細胞に殺される場合もあります。
