2026年1月14日、日経平均株価が54000円と最高値を更新した。
日経平均株価とは、東京証券取引所に上場している銘柄の平均株価の事だ。
最高値を付けた要因の一つに「解散総選挙」がある。
解散選挙で現政党が大勝すると日経平均株価が6~8か月間、40~70%くらい上昇するというアノマリーがあるのだ。
恐らく今、解散選挙に打って出れば大勝かどうかは分からないが、現政党が勝つだろう。
しかし、ここでポイントとなるのが、市場はすでに解散総選挙による株高を「織り込み済み」かもしれないという事だ。
つまり、もし解散総選挙で現政党が大勝したとしても日経平均の更なるアウトパフォームは期待できないかもしれないという事。
「織り込み済み」について
そもそも、日経平均株価に上昇の機運が見られた発端は、新総理の就任と政策方針だ。
「積極財政」と「成長投資」。
新総理が就任してから僅か3カ月で日経平均株価は約5000円も上昇した。
政策関連セクターである造船、半導体、軍需、フュージョンエネルギーなどを筆頭に、様々な銘柄がこぞって買われ、日経平均株価を大きく押し上げたのだ。
しかし、政府の政策による株高の期待はもうすでにこの時点で大分織り込まれている可能性が高い。
なにより、これらの銘柄の企業は成長投資による利益をまだ出していない。
「これから利益がでるだろう」という予想が「織り込まれた」価値が現在の株価でもあるのだ。
市場は期待先行で動く。
しかしその結果、決算が思った程良くなければ大きく上げた分、大きく売り込まれる事になる。
賢いトレーダーはその前に「どうやらダメそう」という予想を「織り込んで」先に売る。
先読みとリスクヘッジ
「織り込む」とは未来予測だ。
未来を想定して、その未来に適した対応を準備しておくことが肝要となる。
未来に起きる事態を「織り込む」技術は株式投資のみならず、人生すべてで応用が可能だ。
だが、すべての未来を予測して結果に則した対応をすべて準備するのは難しい、というかたぶん無理だ。
だからこそ人生は不安で苦痛で苦悩にあふれ、僅かなことでも短期的な楽しみや幸せをみつけられるものなのかもしれない。
むしろそれこそが人生の妙味なのかもしれない。
でも、なるべくこれから起こる未来を正確に予測して、それを織り込んだ戦略を立て、人生を少しでも最適化できたらいいなとは思う。
そんな「織り込む」という概念というか、テクニックを恥ずかしながら僕は最近ようやく意識するようになった。
新人教育
職場にて、新人教育はなかなかに骨が折れる仕事だろう。
マニュアル習得までの道のりは人により異なる。
教える側、教わる側の性格やスペックにもよるし、お互いの相性がある。
そして、どんなに真面目でやる気があり優秀でもヒューマンエラーは起こりうるし、新人の内は余計に慣れない業務でミスを起こしやすい。
新人教育においては、そのミスを織り込んだ上でのマニュアル作成と対応が肝となる。
凄い先輩
以前、新宿のとある病院に就職した際、僕の指導係となった先輩は歌舞伎町の元ホストだった。
柔道整復師という国家資格を持ちながらホストでもあるという異色の経歴の持ち主だ。
「異色」と書いたが、考えてみれば看護師や歯科衛生士でキャバクラ勤務という女性もいる。
もはや現代において、夜職経験がある国家資格者はそんなに驚くほどのことではないのかもしれない。
しかし今思ってみても、僕の教育係であった元ホストの先輩は本当にすごい人だった。
出来ない事を織り込み済みで動く
僕が新人の頃、たった一人で困った局面の時には、呼んでいないのに気づけば必ずその先輩がいた。
なぜ今、僕が困っている事を知っているのか、まるで超能力の如く正確に察してくれてサポートしてくれた。
不安な時も近くで先輩の声がするだけで「来ているのか」と思えれば力と自信が湧いてくる。
出来るところを先輩に見せたい、認められたい、感謝を示したいという気持ちがより強くなる。
そんなこんなで、全部完璧に一人で出来るようになるまで先輩は仕事を教えてくれて、助けてくれた。
今まで、整骨院、大手エステサロン、整形外科などで勤務したが、「一回しか教えない」とか「技は見て盗め」とか、気を遣ってなかなか聞きたいことが聞けない職場が多かった。
その分、先輩のある意味で神通力の様な「察する力」が頼もしかったし、ありがたく何より温かかった。
器量
先輩は自分の仕事を完璧にこなした上で僕の事も完璧にフォローしていた。
恐らく、僕が困りそうなタイミングを織り込んだ上で指示を出して、それに間に合うように自身の仕事もこなしていたのだろう。
それだけでなく、先輩は老若男女すべての患者さんそしてスタッフから人気があった。
気難しい患者さんが待つカーテンで仕切られた部屋、先輩が入って僅か5秒後にはカーテン越しに笑い声が聞こえた。
いつも彼の周りには人が集まり、笑いと話題の中心にいた。
白衣の下に、患者さんを笑顔にする様々な「仕込み」をいつもしていた。
誕生日には多くのプレゼントをもらっていた。※医療機関において是非を問われるだろうが今は時効だから書く。
先輩の器量と頭の回転の速さは真似できないと同時に、嫉妬心を覚える程だった。
先輩はお酒を飲んで夜遊びをして朝起きられずよく遅刻もしていたが、働きが素晴らしかったため周りもあまり注意や小言を言わなかった。
そしてそれを「織り込んだ」上で僕が所属する部署の室長は仕事を先輩に振っていた。
上には上がいて、あの先輩をうまく扱う当時の室長も相当な男だった。
心強さと安心感
結論として、ホストという職種の中の一部の人は相当凄いんだと思う(笑)
利用客が癖になり、嵌る気持ちが少し分かる。
男でもそう思うのだから女性ならば尚更だろう。
なにせ、いつもそばにいて笑わせてくれて、皆から人気があって、困った時に察してくれて、「助けて」と言ってないのに助けてくれる。
それも毎度完璧なタイミングでだ。
もはやヒーロー以外の何者でもない(笑)
ヒーローは織り込み済みで動いている
先輩に、現役時代は凄い稼いで売れっ子だったのですか?と聞いた事がある。
「俺は全然大したことない」と言っていたが本当だろうか?
あのスペックと神通力のような「織り込み済み能力」を上回る人間がゴロゴロ歌舞伎町にいると思うと恐ろしい(笑)
だが、それでいて何も対価を求めないからこそ「ヒーロー」なのだ。
先輩が言う事は真実かもしれない。
ホストでは大きく稼げなかったのだろう。
それは恐らく対価を求めなかったから、もしくは求めるのが苦手だったからなのではないか?
それを織り込んだ上で自分にふさわしいと思った仕事が柔道整復師で、その職場として選んだのが比較的親和性のある新宿の病院だったのかもしれない。
対価を求めず他人の不安を織り込んで、出来る範囲で手を差し伸べる人間を僕は尊敬する。
そのような人間になりたいものだ。
ヒーローは対価を求めない。そして、ヒーローは織り込み済みで動く。
