紀元後、約200年に書かれたとされる「傷寒雑病論」の中の「金匱要略」には瘀血による症状と所見が書かれています。
瘀血の病人は胸が張り、唇は萎縮し、舌は青く、口は乾燥している、咳をしたいが水は飲みたくない、寒くも熱くもない、脈は微弱で伝わり方が遅い、腹は張ってないけど本人は腹が張るという、これらは瘀血由来の症状だそうです。
瘀血のある病人は熱があるように見えて、腹が張って苦しく、口は乾燥して喉が渇いている、脈は反っていなくて熱はないという所見。
「何かあるけど何もなさそうに感じる」のは瘀血が隠れている可能性があります。瘀血は、毛細血管の微小循環障害で、皮膚表面の経絡、血絡に現れやすい病態と考えがちですが、隠れた瘀血にも気を配らねばなりません。
瘀血症の治療には刺絡以外に漢方薬があります。前回書いた黄帝内経と同様に、約2000年前から傷寒論では瘀血に対する効果的な漢方薬の記述があるのです。
一例として、桂枝逆湯、黄土湯、瀉心湯などです。
「血絡」という言葉があります。結論からいうとこれは体表に現れた瘀血のある場所です。すなわち微小循環障害を起こして瘀血が溜まった毛細血管です。東洋医学ではこれを「細絡」といいます。
まず、身体を通る特殊な道を経絡といいます。
経絡から枝分かれした絡脈には十五の絡脈という道があり、全身に広がってます。さらにそこから枝分かれしたのを孫絡、皮膚表面の浅いところをめぐるのを浮絡、そしてその中でも小さな血管が怒張して皮膚表面に盛り上がっているのを血絡というのです。
血絡の滞りなく、すなわち微小循環障害を起こした毛細血管に溜まった瘀血を解消するには刺絡以外に、まずは手で擦するのも一つです。
例えば、頭がのぼせて足が冷える状態を東洋医学では上実下虚といいます。その場合、経絡の走行を見ていき鬱血した血絡を探し求めて、その部位を見つけたら心臓の方か、もしくは心臓とは逆の方は擦るのです。
仮に上記のような症状でなくとも、もし細絡をご自身の身体でみつけたらその部位を軽く手で擦ってみてください。
その際、心臓に向かっての方向と、心臓と逆方向、擦ってみてどちらか気持ちの良い方を選択するとよいでしょう。