毛細血管と「瘀血」微小循環障害とは?

毛細血管と瘀血

人の血管の全長は、約10万㎞にもわたるといいます。

この長さは、なんと地球を2周半する距離に匹敵します。そして血管のうちの80%~90%は毛細血管なのです。

血管の役割は言わずもがな、血液を運ぶことです。心臓から出た血液は、酸素や栄養素を全身の細胞に送り届け、細胞でできた老廃物や炭酸ガスなどを回収してまた心臓にもどってきます。これを絶え間なく行ってくれているのが循環器系、そして実際に隅々まで血液を送り届ける大切な立役者が毛細血管なのです。

そのため、血液がドロドロしていたり毛細血管の流れが悪くなるのは身体にとって害である事は言うまでもありません。

血液循環のプロセスは、社会生活のサイクルにも似ています。

人が生命活動をする際、日々ゴミが出て、家で出たゴミを回収日に合わせて外に出し、それを清掃業者さんが回収してくださる。これが正しいサイクルできちんと行われることで社会における清潔と健全性が保たれるのです。

もしこれがうまくいかなければどうなるでしょうか?

家のゴミを外に出さないと家の中と住んでいる人が不衛生になります。外のゴミを回収しないと地域が不衛生になります。個人と地域が不衛生だと不健康になり、社会に負の影響を与えます。

このゴミ処理における循環不全は地震など、やんごとないクライシスの場合はいたしかないとしても、やがてはインフラが復旧して解消されるでしょう。しかし、常日頃から意図的にゴミが溜まり回収もなされず不衛生、不健康を続けていたらその地域の循環が滞り最悪、街全体が機能不全を起こしてしまいます。

これを人間の身体で「瘀血が溜まった状態」といいます。

瘀血の瘀は、ふさがる、滞るという意味を持つ昔の中国の漢字が使われています。それすなわち、古来より血液の停滞が人体に害を及ぼすという概念があったのだろうと考えられます。

「瘀血」は東洋医学独特の病理観ですが、現代医学的な観点で見ると「微小循環障害」と解釈する事ができます。

上述の通り、人間の体には途方もない長さの血管が全身を網羅していて、その8〜9割が毛細血管です。毛細血管レベルでの血の巡りの悪さ、すなわち微小循環障害が瘀血を招き、それが慢性化する事で何らかの不調に繋がるのです。

瘀血を防ぐには血液をさらさらにして、なるべく血流を良くする生活習慣を築き実践することが肝要です。