めまいで一番多いのは良性発作性頭位めまい症です。これは、耳の奥にある耳石という小さな石が、本来入るはずのない半規管という管に入りこむ事で発症します。
入り込んだ耳石が外に出るか、吸収されるかすると自然にめまいは治ります。「良性」とは、「完治する」、「治る」という意味なのです。
しかし、この良性発作性頭位めまい症や、そや他の原因によるめまいが繰り返しなん度も起きる場合もあります。最初に引き起こされためまいが原因となり引き起こされるめまいのことを、二次性めまいといいます。二次性めまいは全めまいの中の6から7%程の確率で発症します。
パーセンテージとしてはあまり高くないように見えますが、めまいがなかなか治らなかったり、繰り返すようなら二次性めまいに移行している可能性があり、この場合は前のめまいに準じた治療法針では治らない事もあります。
それもそのはずで、二次性めまいの場合はめまいが起きる頻度、場所、条件、めまいの感じ方が良性発作性頭位めまい症と異なっている事が多く、その後の専門医の診断で持続性知覚性姿勢誘発めまい症(PPPD)と、新たな診断名がつく事も往々にしてあります。この持続性知覚性姿勢誘発性めまい症は、二次性めまいの中でもっとも多いタイプです。
めまいの質が以前と違う場合はこのPPPDを疑った方が良いです。
PPPDの特徴は、
・ほぼ毎日めまいが起きる
・ふわふわする浮動性のめまい
・視覚的な情報でめまいが誘発される
など。
視覚情報は、スーパーでの商品陳列棚や本棚、エスカレーターなど複雑な物が動いているのを見るなどの情報です。
PPPDは症状により生活に著しく支障をきたす場合もあります。通常、良性発作性頭位めまい症や前提神経炎によるめまいなどは3ヶ月程度で改善が見られる事が多いです。
しかし、ふわふわするという浮遊性のめまいが3ヶ月以上続くようならばPPPDが疑われたるので、一度専門医の元を訪ねるべきです。
そもそも、人間の体はどのように身体の位置やバランスを把握しているのでしょうか?
それは、目で見て、足で触れて、内耳で感じて、小脳で捉えています。そしてそれらの情報を脳で処理する事で相互的に身体の位置とバランスを把握するのです。
バランス感覚を司る器官を複数に分けてリスク分散しているのは素晴らしいシステムです。なぜなら、一つが機能不全に陥っても別でリカバリーできるからです。
なので、どこかがうまく働いていないとバランスが崩れてエラー情報としてめまいがおきます。ですが、そのうち他の部位の代償作用が働く事でバランス感覚はリカバリーされる、すなわちめまいは改善されるのです。
しかし、その時に視覚に関わる器官と脳が異常に働いてしまうことがあります。そうなると、視覚情報を強く捉えてしまい、これが逆にめまいを招く事に繋がるのです。
めまいは一般的に内耳(耳の奥)のトラブルで起きると考えますが、貧血や心因性でもめまいは起きます。これらも当然PPPD、二次性めまいを招く恐れがあります。
持続性知覚性姿勢誘発性めまいを改善させるには、
・前庭リハビリテーション
・抗うつ薬
・認知行動療法
などが肝要となります。
前庭リハビリテーションは文字通り、リハビリです。目や足の裏などを刺激して活性化させ、身体機能回復を図ると同時に、いい意味でめまいに慣れるのが目的です。場合によって、わざとめまいを誘発するようなメニューもあります。
抗うつ剤など、精神や脳に作用するような薬はなるべく飲みたくはありませんが、もしも心因性由来のめまいならば抗うつ剤も効果的なのかもしれません。でも、その前にリハビリなどやれる事を全て試したいですね。
認知行動療法はめまいを誘発する環境的要因、心理的要因などを割り出し、理解、順応していくというものです。
3ヶ月以上続く不快なめまいでお悩みの方は、是非もう一度専門医の元を受診してください。