緑内障

緑内障は視野が欠ける目の病気で、失明原因の第一位だ。徐々に視野が欠けていくため本人も気付きにくい。緑内障と診断されていても、視力が1以上ある方はザラにいる。「視野」とは、いうならば小さなテレビ画面が何百もありその一つ一つに色がついて全体像となっているようなイメージだ。緑内障は、その小さなテレビ画面が一つずつ消えていくような感じ。

困ったことに目と脳の性質上、欠けた部分は少しならば脳内で自動補完されるため余計に気付きにくい。緑内障で一番怖いのは自動車の運転だ。視野が欠けている部分が死角となるので、そこに写るはずの通行人や車を認知できないので事故を起こすリスクが高まる。

緑内障かどうかを確かめるにはまず、眼科で眼圧を調べてもらう事だ。もしも眼圧が高いと言われたら注意が必要。高い眼圧は緑内障と密接な関係がある。

眼圧と緑内障の説明をする前に、まずは眼球と網膜神経繊維の説明をする。

眼球の内側には網膜という膜がある。この網膜は、100万本もの網膜神経繊維で埋め尽くされている。これは、外から入った光の情報を脳に伝える役割を持つ。先に述べた「たくさんの小さなテレビ画面」がこれにあたる。この網膜神経繊維は眼球の後ろから束になって脳へと向かう。神経が束になった部分には、神経が絡まったりしないように固定するための篩状板というレンコンのような板がある。

次に、眼球に栄養を運ぶ房水と眼圧について説明をする。

房水は、レンズの厚みを調整してピントを合わせる役割を持つ毛様体から生産され、適切な水圧を持って眼球を内側から支えて球形を保つのに役立っている。

すなわち、眼圧が高いとは「何らかの理由で房水が多くなり、その水圧が眼球内に強くかかっている状態」の事。

眼圧が高まると、眼球の後ろにある網膜神経繊維が束になっている部分に圧力が集中する。それにより篩状板が変形して潰れる。篩状板が潰れると神経繊維も潰れる。神経繊維が圧迫されて壊されると、神経繊維に栄養が行き渡らず神経が壊れる。この壊れた網膜神経繊維が司っている部分の視野が欠けるのだ。これが「緑内障」のメカニズム。

緑内障は初期、中期、後期に分かれていて初期には自覚症状がない。中期になると網膜神経繊維の半分近くが機能しなくなっているため、見えにくさなどの症状が現れる。できれば症状のない初期のうちに治療を始めなくてはならない。なぜならまだ半分以上、網膜神経繊維が生きているからだ。そのうちに、なんとしても眼圧を抑える治療を受けるのだ。

とにかく眼圧を下げる事が最大の治療方針となる。方法は目薬や手術。専門医による検査、診断を経て相談の上で然るべき治療が行われるだろう。

緑内障が疑われる症状や要因を以下に示す。当てはまるものがあれば一刻も早く眼科を受診して頂きたい。

①眼圧が高いと言われたことがある

②家族に緑内障の方がいる

③強度の近視である

④左右の目で見える範囲や明るさが違う

⑤視線をぱっと動かした瞬間に見えにくい

⑥パソコン作業時、マウスポインターを見失ってしまう

⑦テーブルの上の小鉢に気づかずおかずを残す

⑧急須から湯呑みにお茶がうまく入らない

⑨車庫入れが下手になってよく擦る

⑩メガネが合わずいくつも持っている

⑪メガネがいつも汚れているような気がする

⑫人混みで人にぶつかる

⑬階段や乗り物のステップを踏み外す

⑭ゴミ箱など足元にあるものにぶつかってしまう

⑮文章を読み飛ばしてしまい話がつながらない

繰り返しになるが一つでも当てはまったら、即眼科を受診する事。

参考資料

NHK 緑内障のトリセツ