子供の上腕骨外側顆骨折について。

上腕骨外側顆骨折は小児に多く、肘周りの骨折の中では上腕骨顆上骨折に次いで多い骨折である。

特徴は、①5歳から10歳の子供に多い、②成長軟骨盤を損傷する、③関節内骨折など。

成長軟骨盤が痛むと骨の正常な縦軸方向の成長を阻害する可能性があるためきちんと治しておかねばならない。関節内骨折は、一般的にいくら小児といえども治りが悪い部位である。痛んだ部分が治るには血液が必要なのだが、関節内は血管の介在が少ない。さらに、関節内は関節液で満たされているが、その関節液が骨折部に入り込み骨癒合を邪魔してしまう。なので上腕骨外側顆骨折は、程度や状態にもよるだろうが観血療法適応となる場合も大いにある骨折である。

発生機序としては、肘関節が伸びた状態で肘に強い内反力もしくは外反力が加わる事で発生する。

肘を伸ばして後ろに転んだ際に損傷しやすい。しかし実際はどのようにして上腕骨外側顆が骨折するかの要因や可能性は沢山ある。直接ぶつけたり、前方に転んでも外側顆部分が骨折することもある。なので一概に後ろに転んで起きるとばかり考えていてもいけない。

外側顆骨折は、肘関節90度屈曲、前腕中間位で固定する。髪の毛程の薄い骨折線が入っている程度であれば2~3週間の固定のみで治る場合もあるが、転位がある場合やその状態によっては5週間近くの固定を要する場合もある。ただ、上記のように医師の判断で観血療法の適応となると、ワイヤーで固定することで骨折部が安定し逆に固定期間は少なく、固定具もギプスではなくシャーレ固定のみとなる場合もある。

外側顆骨折で起こる可能性がある後遺症は、①外反肘、②遅発性尺骨神経麻痺、③偽関節など。

外側の成長軟骨盤が損傷して、内側と外側の成長が釣り合わなくなってくることで肘が外に曲がっていく外反肘となる。そしてそれにより内側部分を通っている尺骨神経が伸ばされて受傷から暫く時間が経ってから麻痺や痺れなどの症状が出る遅発性尺骨神経麻痺が生じる。偽関節は、簡単に言うと骨が折れて何らかの作用でその部分の治癒の機序がストップしてしまい、治らなくなった際に本来動くはずの無い部分が動くようになってしまうこと。

これらのような後遺症は非可逆的なもので自然治癒はしない。なので、外側顆骨折は受傷した際の初期行動が重要である。すぐに専門医に診せて判断を仰ぐべきだ。夜間や休日の場合は消防庁の救急相談窓口もある。