潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群と自律神経の関り。

腸は、毎日食べ物を食べたり飲み物を飲んだりと常日頃から様々な異物と接する機会が多い。その中には細菌やウイルスなども含まれる。なので、腸の中にはそれらを無害化するための免疫細胞がたくさんいる。その免疫が誤作動をおこし、腸を攻撃して炎症が起きてその部分に潰瘍ができてしまうのが潰瘍性大腸炎。なぜ免疫細胞が誤作動を起こすかというと、遺伝、腸内細菌の乱れ、食事の欧米化、などが考えられている。果糖や清涼飲料水を多く摂取している方や若い方もなりやすい傾向にある。潰瘍性大腸炎の最悪の結末は、潰瘍部分や炎症部分がやがて癌細胞化して大腸癌になること。これを避けなければならない。そのためには、症状があまり強く出ていない状態をできるだけ長く保つという事が重要となる。

治療は薬物療法の他に血球成分除去療法というのもある。これは、特殊なフィルターを介して血液を濾すのだ。炎症を起こしている原因となっている活性化した白血球だけをピンポイントで除去して身体に戻す。最近では白血球ではなく、血小板を取り除くのもある。血小板は炎症により増え、そして炎症を悪化させる作用がある。

過敏性腸症候群について。

過敏性腸症候群は、日本人の10人に1人。電車やバスに乗ると必ずトイレに行きたくなる、ストレスを感じると便秘になりがちになる、緊張すると急にお腹が痛くなるなどの症状が出る。これは、「気が小さい」とか「体質」だからと考えずに腸の異変であり病気なので病院に行かないといけない。自己判断してはいけない。

過敏性腸症候群は、真面目で完璧主義、神経質な方がなりやすい。ストレスがかなり大きく関係している。20~30歳代で胃腸が元々弱い体質の方に強いストレスが加わる事で起きるのではないかと考えられている。ではなぜ、便秘や下痢になってしまうのかというと、腸の運動と脳とストレスが関係している。

小腸に送り込まれた食べ物は小腸を移動しながら消化されつつ栄養素が吸収されて大腸に入る。大腸の中を移動しながらさらに消化されつつ水分が吸収されて便となっていく。そして、セロトニンによって腸の蠕動運動が行われて便を外に排出するわけだが、脳の方でストレスを感じるとその蠕動運動が止まってしまいそれが便秘となる。逆に蠕動運動が強すぎると便が柔らかくなって下痢になるのだ。

過敏性腸症候群はストレスとの兼ね合いが強いが、腸内細菌の乱れにより悪玉菌が悪さをして腹痛やお腹の動きを悪くしている可能性がある。なので食物繊維を摂り、乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌をとる事が重要になる。生活習慣改善と食生活改善、あとはストレスをためないということが基本的な改善方法となる。これらを行ってもなかなか症状が改善しない場合は、薬物療法となる。その他、過敏性腸症候群はあらゆる検査を行ってもなんの異常も見当たらないにも関わらず、確実に消化器症状がある状態をいうが、中には何らかの病気が隠されている可能性もあるので定期的な病院の受診が寛容となる。