冷え、レイノー現象、更年期障害について。

「レイノー」という現象がある。これは、発作時に手足の血の巡りが悪くなって皮膚の色が紫色になり、痛み、冷感、しびれ感などを自覚する。そして、血流が回復すると充血して赤くなるという現象だ。レイノー現象が起きる原因は、寒冷刺激、強い精神的緊張、ストレスなどが引き金となって手足の細い血管に強い収縮が起こる事で生じるのだ。

原因があるレイノー現象をレイノー症候群といい、原因がないものをレイノー病という。レイノー症候群は何らかの疾患がすでにあって二次的に発症するケースや、何らかの病気の徴候、単に物理的な反復刺激がかかることなどで起こる。動脈硬化、振動工具、ピアノやタイプなどの反復使用による局所の外傷、手指に分布する神経や血管が肩の部分で絞扼された状態、薬物や重金属によるアレルギー、甲状腺や膵臓の腺腫や内分泌障害、血液成分の異常など。

その他、更年期障害というものもある。これは、女性ホルモンであるエストロゲンが閉経の関係で急激に減る事で起こるとされていているが、男性にも起きる。男性の場合は50~60代頃からテストステロン(男性ホルモン)が急激に下降するのと、ストレスにより自律神経のバランスが崩れて起きる。

なので特に基礎疾患もなく、振動器具や寒冷刺激をあまり受けていないにも関わらず、50~60過ぎくらいから急に冷え性になったとか手足が冷えるようになったという方は、性ホルモンの急激な減少とストレスが関係している可能性がある。

当院の患者様でこのようなケースがあった。その方はを施術した際、仕事終わりにいらっしゃった時は施術後、足の裏がとても暖かくなってお帰りになるのだが、お仕事中にいらっしゃった時は同じように施術しても施術後に足裏が暖かくならないのだ。

自律神経と末梢の冷えの関りの原因は交感神経の緊張にある。敵と戦ったり逃げたりなど、戦闘や活動状態に適している交感神経が優位になることで末梢の血管が収縮して血の巡りが悪くなる。これは、そうすることで心臓に負荷をかけて脈拍、心拍を早くして血液をどんどん循環させていき、素早く身体を動かせるようにするのためなのだ。

なので現代においての「戦い」とは原始時代のサバンナのように、命のやり取りの挙句に獲物を狩る事ではなく「仕事」こそが生活を守るための「戦い」なのだ。なので仕事やストレスにより交感神経の緊張が人により強く作用してしまうと末梢の冷えに繋がるという事は多いに考えられる。