一般臨床医学。脳梗塞かもしれない時に見るポイント。

脳梗塞で亡くなる方は年間約6万人。発症する人は年間約20万人。

日本人の約10%、10人に一人が生涯の中で脳梗塞を起こす。少しでも異変を感じたらすぐに救急に電話するべし。

早期に見分ける一つの指標にBE FASTがある。

BALANNE  身体のふらつき。

EYE 目の見え方の異常。視界が欠けるなど。

FACE 顔の麻痺。口を「いー」の形にして左右の唇に差がないか。

ARM 腕の麻痺。腕を上げた時に勝手に下がってくる。

SPEECH 言葉の障害。

TIME すぐに119番!!

上記のような症状がいきなり起きたら危ない。脳梗塞の場合は壊死の範囲が時間が経つにつれて大きくなる。

4時間で5倍、24時間で9倍にもなる。壊死した部分は二度と戻らない。壊死の範囲が広い程後遺症が起こりやすくなる。

TIA(一過性脳虚血発作)

一時的に脳梗塞の症状がなくなるというもの。動脈硬化が起こってそれにより血の巡りが悪くなって血栓が詰まって脳梗塞になるわけだが、その血栓が短時間で溶けるというもの。TIAは数分から数10分で症状が消える。しかしこれを放っておくと本格的な脳梗塞を起こすことがある。TIAを起こした人の半数が48時間以内に脳梗塞を起こしている。一度血栓が溶けたとしてもまだ血栓ができる原因を抱えているのでいつまた起きてもおかしくないのだ。TIAの症状が例え5分と短かったとしてもすぐに救急車を呼ばなくてはいけない。

脳梗塞の場合は自家用車などではなくまずは119番に電話して救急車を呼ぶ。絶対自分で運転してはだめ。通報して救急車が来るまで日本国内において平均8分から7分で到着する。通報に使った電話機はしばらく使わないでおく。連絡をとりやすくするため。

もしも脳梗塞を発症したら安全確保が重要。屋外ならば、車の往来がない安全な場所に移す。その際に患者さんにたって動いてもらってはだめ。寝た状態でいてもらう。寝た姿勢を保つことで脳への血流量低下を防ぐ。立たせてはいけない。ネクタイやベルトなど服装を緩めることも大切。もしも吐いてしまったら横向きにする。気道を広げるために背中にタオルをいれて横向きをキープする。横向きの際は麻痺している側を上にする。暑すぎず寒すないようにする。まれに、夜に脳梗塞を発症して朝まで様子を見るという人もいるようだが絶対だめ。すぐに救急車を呼ぶ。

脳梗塞の主な原因は動脈硬化が5~6割。心房細動が約3割。

血管が硬くなると血管の中に小さな傷ができてそこにコレステロールなどが溜って瘤になる。これを動脈硬化という。この瘤が破れた所を防ごうと血栓がで出来てしまい、血栓がたくさん集まってくると血の巡りが悪くなって血管が詰まってしまう。とくに頸動脈に血栓や動脈硬化があると危ない。そのまま脳に飛んでしまう。

これを防ぐためにも頸動脈エコー検査は重要。頸動脈のエコーが勧められるのは50歳以上。そして動脈硬化の危険因子がある方。↓↓↓

高血圧、糖尿病、脂質異常症、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、心不全、肥満、喫煙、大量の飲酒など。

心房細動は心臓の拍動リズムがみだれる不整脈の一つ。心臓の拍動は通常1分間に100回以下。ところが心房細動の場合は一分間に400回以上となる。心房が痙攣している状態。そうすると心房の壁のところで血栓ができてしまう。そうなると大きな血栓が詰まりやすい。脳梗塞による死亡率、動脈硬化型は約4%、心房細動型は約12%。心房細動がある方の割合→40歳以上だと0.9%。そのうち80歳以上では男性4.4%、女性2.2%。

心房細動の自覚症状としては、動悸、息切れ、胸が苦しい、痛い、息切れしやすいなど。胸の症状が見られた時は脈を診る。30秒間くらいで不規則な脈の打ち方をしてないかを見る。不整脈は様々な種類があってその多くは心配なく経過観察のもの。しかし特に高齢者の不整脈は心房細動のリスクもあるので掛かりつけのお医者さんに相談して心電図を取った方がよい。

心房細動には持続性というのがあり、これはリズムの乱れが続くので安静時心電図で診断できる。しかし、発作性の場合はたまにしかおこらなくて心電図で見つけにくい。これは隠れ心房細動ともいわれる。心房細動の約半数が無症状。60歳以上の方は年に一回安静時心電図検査を受けた方がいい。