あきらめてはいけない。膝の痛みの意外な改善ポイント。

今回は膝の痛みの症例です。

膝が痛いという中年の方なのですが、整形外科では異常なしと言われています。関節包内への痛み止めの注射もその時はいいような気がするけれど長くはもたない。お医者さんからは運動をして筋肉をつけて少し体重を減らすようにみたいなことを言われるのですが、長い事歩いたり走ったりすると痛くて辛い。お風呂から上がる時や、立ち上がり、しゃがみなど膝に負荷が掛る時に膝から下にかけてとても痛くなるという症状です。

整形外科では改善しなかったので、膝の痛み専門の整体院に赴いてみたが、膝関節や骨盤の調整などしてもらっても全く変わらなかったとの事でした。

以上の事からどのように考えてアプローチするかという事ですが、まず膝関節には原因が無くて、炎症由来の症状ではないのではないかという事が分かります。なぜならレントゲンで軟骨のすり減りや骨の変形がない事が確認されていて、膝関節内の局所への抗炎症薬の効果がいまいち実感できないからです。

なので施術としては、一番負荷が掛らない状態で症状が出る動きをしていただきました。仰向けでただゆっくりと膝を曲げたり伸ばしたりする動きです。この時に少し痛みがありました。痛む部位が膝のど真ん中から脛、足首のあたりにかけてという事でこれはL5、腰椎の5番目から出ている神経の支配領域です。なので、同じL5の支配領域内の腸脛靭帯上の経穴である風市を押圧して見ました。すると、膝の曲げ伸ばしが楽になったとの事。その後腸脛靭帯部を手技で緩めて手を離すと、急所を手で押さえていなくても膝の屈曲伸展時の痛みが解消されました。

次に、立ち上がりとしゃがみ動作を見て見ました。先程の刺激でいつもよりも楽だけれどまだ膝に痛みはあるとの事でした。なので、立ち上がりとしゃがみの際に今度は臀部の筋肉を押えて見ました。するとまだ少しは痛いけどだいぶ痛みが軽減しました。さらに辿って、最終的に腰椎5番目の神経の出口周辺、交通枝に無血刺絡の刺激を行いました。腰椎5番目のデルマトーム領域の上の急所に刺激を与えていった中では一番症状が楽になったと仰っていました。

今までの様々なアプローチではなにも症状は変わらなかったけど、今回大きく症状が前進したのです。時間薬と言って、どこかが痛い時に時間の経過と共に症状が楽になるケースもありますが、適切な箇所に適切な刺激を加えないとなかなか症状が改善の方向へ動いていかないという事もあるのです。

なので、痛むところがあってずっと症状が変わらないという時は何らかの非可逆的変性が起きていなければ、正しい箇所に正しい刺激を加える事で改善する可能性は大いにあると僕は考えています。