今回は20代の方の腰痛症例です。
症状
特に捻ったとかぶつけたわけではなく、運動時痛もありません。
座っていても立っていても歩いていても5分くらい経つと腰が痛くなってくるという症状です。
ヘルニアや狭窄症などの鑑別
このような場合、狭窄症やヘルニアなどの可能性を考えます。
神経根や腰髄が圧迫されていれば安静時痛がでてもおかしくはないからです。
それに、少し歩くと痛みが出るのは狭窄症でよくみられる間欠性跛行の可能性もいあります。
しかし痺れはなく、SLRやケンプ徴候などは陰性でした。
特に狭窄症は、高齢の方に多い傾向がありあますので、今回はあまりあてはまりません。
内臓の病気
腰の安静時痛がある場合、内臓の病気が隠れている可能性もあります。
腎臓や大腸など、消化器系、泌尿器系症状の有無の確認は必須です。
胃腸の状態が悪いと腰痛が出ます。
腎、泌尿器もです。
腎から尿道までの間で炎症や結石があると、腰部付近に痛みを感じます。
鑑別
それらを診て、聴いていった上で判断します。
特に気になる内臓の不調や症状はなく、何より直近行った検診で異常なしだったとの事でした。
この方は普段、8時間以上デスクワークです。
以上の事より、血流不良を起因とする内因性発痛物質の蓄積による安静時の痛みと、筋筋膜の癒着による動きの悪さの可能性を考えました。
施術
姿勢維持筋である脊柱起立筋や、腹横筋、腹斜筋、殿筋などを手技で緩めていきました。
関連している筋肉に等尺性収縮をかけて深部にもアプローチを加え、痛む部位と反応が出たその周辺に無血刺絡を行いました。
動かした際の左右のツッパリ感なども同時に取り除いていき、もう一度座って頂きました。
結果
すると、とても楽になったとは仰って頂いたものの、5分経過したくらいからまた腰が痛いとの事でした。
来院時の痛みが10だとすると今はいくつか尋ねると7~8暗いとの事で、あまり改善していませんでした。
真の原因部位
そうなると、緩めるべき真の原因ポイントが他にある可能性があります。
色々診ていった結果、大腿部内側の内転筋がとても硬くてここの筋硬結部位を押えておくと症状が出なくなったとの事でした。
痛むところは腰の付け根のあたりなのですが、なぜ大腿部内側の筋肉を緩める事で楽になったのか?
骨盤と筋肉と腰痛
内転筋は恥骨にくっついています。
この筋肉が硬くなると恥骨を引っ張ってしまって骨盤バランスが前後で悪くなります。
何か月もかけて僅かな張力で骨盤を前に傾け続ける事で着実に負担は積み重なっていきます。
それが限界を迎えてこの度、確固たる症状として現れたのだと考えられます。
痛む部位に原因がない
このように痛むところに原因がない事も多いのです。
痛む部位にばかり目を向けて施術をおこなっても効果はあまりなく負担が掛かってしまうだけです。
ある程度の刺激を加えても改善が見られない場合は、別部位に目を向けて見る必要があります。
慢性、急性の腰痛には鍼や刺絡が効果的です。
お辛い方は神楽坂東五軒町鍼灸整骨院へお越しください。