ヘルニアがあるぎっくり腰の症例です。
症状
ヘルニアの症状は治まっていたけれど、昨日から腰が痛くなって腰を真っすぐにできない状態です。
立ち座り、回旋、前屈動作が辛いという症状です。
ヘルニアや狭窄症の腰痛は注意
基本的にヘルニアや狭窄症など何らかの器質的な疾患を主体とするぎっくり腰は注意が必要です。
場合によっては痛みが増悪する可能性があり、増悪した腰痛は鍼灸師では手に負えない場合があるからです。
無血刺絡の生みの親である医師の長田先生は、ヘルニアや狭窄症を300症例以上無血刺絡のみで治療されています。
実際、うちでも何名か施術した経験がありますが、かなり強い痛みの時は病院一択です。
横になるのが怖い
今回は、激痛というまででもないですが付き添いの方と一緒に歩いて来院されました。
デスクワークで負担が常日頃腰に掛り、引っ越しを契機にぎっくり腰を発症したとの事でした。
怖くてほとんど動かせないという状態です。
このような時、施術は座位でおこないます。
なぜならば、何の対策も講じずに横になると起き上れなくなる可能性が高いからです。
痛みなく動かせる動作を安全に増やしていく
まずは、「動かすと痛い症状改善」のメソッドを使い、どこを押えたり急所に響かせると症状が楽になるかを見ていきました。
その結果、両臀部を押えることにより回旋動作が楽になるという事が分かりました。
この部分を緩めて、もう一度回旋動作をしてもらったところ先程よりも楽だと仰っていました。
短時間で効果を出す必要がある
しかし、まだまだ症状は依然として強い状態です。
こまま関連筋を一つずつ緩めるのには時間がかかります。
痛む中、長時間座位を保持するのは大変です。
そこで、無血刺絡を試みました。
狙うところは痛みが出ているところをダイレクトで狙いました。
あとは、ヘルニアを起こしている脊柱周辺も刺激しました。
いい感じでフレアー現象が起き、一度手を止め動きや感覚を確かめて頂きます。
その結果、かなり改善したと仰っていました。
マックスの痛みが10だとすると今はいくつですか?という問いに対して4~3くらいとおっしゃっていました。
立ち上がりや座り動作、前後屈、歩行がそれなりに楽になったので今回はこれで様子を見る事にしました。
前屈痛は深追いしない
ヘルニアは椎間板が潰れて中の髄核が神経根を圧迫する疾患です。
前屈動作を行うと、椎間板内圧が上昇するため痛みが出やすいのです。
前屈痛を筋筋膜の癒着のせいと思い込み、一生懸命運動療法を行うと痛みの増悪を招きかねません。
強い症状の時ほど深追いはしない
痛みが強い時は一回の施術であまり深追いはしません。
なぜならオーバートリートメントになることがあるからです。
一番痛い時を10として今いくつですか?というペインスケールの評価で5以下になったら施術効果は出ていると判断し、終了します。
「過ぎたるは及ばざるが如し」なのです。
強い症状の時こそ無血刺絡かもしれない
いくら強い症状のぎっくり腰でも、適切な箇所に適切な刺激を与える事で症状が改善することはあります。
冒頭でも書きましたが、長田先生は狭窄症やヘルニアの他、ブロック注射も効かなかったかなりひどいぎっくり腰を二度の無血刺絡でほぼ全回復に導いた症例を経験しておられます。
今回は、鍼灸師としての「分」をわきまえ、リスクヘッジと鑑別をした上で、強めの症状にも無血刺絡で立ち向かえる可能性を感じた症例でした。
急性、慢性痛に鍼や刺絡は効果的です。
お辛い方は神楽坂東五軒町鍼灸整骨院へお越し下さい。