皆様こんにちは。
今日は、当院で行っている「響を与える鍼」というものについてお話します。
皆様、鍼治療って受けたことありますでしょうか?
受けたことがある方なら恐らく実感したことがあると思われますが、まれに鍼が刺さった時に「ずーーん」とするような感じがある時があります。
要はこれが「響き」です。
苦手な方もいらっしゃいますが、この「響」があった方が、良い反応が起こりやすいのです。
この「響」が起こることにより、軸索反射といって患部周囲の血流量が増加し、血管拡張が起こり内因性発痛物質という痛みの物質が流れ、痛みが緩和されるというメカニズムです。
「ずーーん」という「響き」は、ポリモーダル受容器という深部の侵害受容器に鍼が触れた時に起こる反応です。
侵害受容器とは、皮膚が破られ内部に異物が侵入した時に働く受容器という事です。
なので、鍼刺激により皮膚が破られ組織を僅かに傷付けその際にポリモーダル受容器を刺激し、「響」が起こります。
これは血流促進することによる鎮痛効果の他、自律神経系、内分泌系、免疫系にも影響を与えている可能性があると考えられています。
なので、ポリモーダル受容器を興奮させることにより様々な症状緩和につながる、すなわち鍼治療の効果というのはポリモーダル受容器の興奮にこそあると考える事が出来ると思います。
更に、実はこのポリモーダル受容器の興奮というのは、皮膚表面を軽く引っかいたりするだけでも反応する場合があるという事が近年分かっています。これは微小神経電図法を用いて明らかとされています。
当院では脳神経外科医が考案した「無血刺絡療法」という皮膚表面に「チク」っという痛圧刺激を用いて自律神経を調整する療法も行っております。
これはとても優れた療法で、当院でも様々な症状緩和に役立っている療法です。(詳しくは、「無血刺絡で効果が出た症例集」を参考にしてください)無血刺絡の理論と知識こそ、皮膚表面の刺激でポリモーダル受容器を安全に興奮させ、軸索反射を起こすのに一番安全で確実で簡易な方法と言えるでしょう。
…でも、いくら理論では説明できていても、患者様にご理解頂いても鍼の響が好きな方はやっぱり皮膚表面の刺激ではあまり効果を感じられない、物足りないと仰います。
なので、しっかりと目的の箇所や患部に「響き」を与えることにより、「きた~~~」とか「そうそうこれこれ!」とおっしゃって頂き、とても楽になったとお帰り頂いております。それはそれでいいことだと僕は思っています。
皮膚表面の刺激でも、皮膚を破って内部を侵害しても、いずれもポリモーダル受容器を興奮させるというところが大きなポイントとなります。
鍼が苦手な方は皮膚表面に対しての効果的な刺激を、「響」が好きな方には深部にしっかりとした「響」をしっかりと与えていきます!!