42 必殺仕事人の考察シリーズ。必殺仕置人 念仏の鉄。脊柱、脊髄の損傷について。

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皆様こんにちは。

今回は、念仏の鉄の技について書いていきます。

山崎努さんが演じる、念仏の鉄は仕事人(仕置人)のなかでもかなり人気のキャラクターです。

 

鉄は、僕が考えるカテゴリーの中では「怪力系」になります。
この怪力系の仕事人は他に、村雨の大吉、左門、印玄、壱などがいます。

鉄は、相手の首骨や背骨を外し、死に追いやるという技を使います。他にも、あらゆる関節を一瞬で外す、要は脱臼させる事ができます。

 

それというのも鉄は江戸の貧乏長屋の一角で「骨接ぎ」といって、今で言う整骨院を営んでいます。

なので、整骨院を経営していて骨接ぎが出来るとなると柔道整復師ということで、骨折、脱臼、捻挫など筋骨格器系の専門家ということになります。
※骨接ぎとは骨折、脱臼を元に戻すということです。

 

医療関係の仕事人は他にも何人かいますが、その中でも鉄は一番強く凄腕だと思います。
なぜなら仕事柄、人体の構造を深く理解していて、武器を持たず素手で戦うのでいつでもどこでも技が使えるのです。

この、素手で戦うというのがポイントで、新仕置き人の巳代松とかがいい例で、一回こっきりの武器を使っていてそれが失敗に終わると、丸腰になってしまいます。

他にも花屋の政とか、飾り職の秀とか、何回も使えるけど、か弱く細い繊細な武器が壊されたらピンチになります。
まあ、延髄系の仕事人達は肉弾戦が得意なので、自身の武器が壊されても相手の武器や周りの物を利用してやっつけることもありますが…。

 

なので、素手で戦えるというのはかなりポイントが高いのです。しかも多人数でも大丈夫なのが鉄です。

劇中でも、むしゃくしゃするからという理由だけで何十人ものヤクザと乱闘して、…余裕で全員倒しています(笑)

強さ以外にも、見た目に傷が残らないので通りすがりの人や、周りの人に悟られずらいという点もあります。

 

まあそれはおいといて、鉄の骨外しは実際にできるのか、これについて考察していきます。

鉄の骨外しはいくつかのパターンがあります。

 

①頚骨
あんまりないけど、まれに頚骨を狙います。正面から狙いますね。

 

頚骨の正式名称は頸椎といって、7つあります。頸椎と頸椎の間から一本ずつ左右に神経がでていて頚や腕、手のほうに伸びて様々な筋肉を支配しています。

その中で、頸椎の三番より上、頭の方にいくところは呼吸に関与する呼吸筋を支配している神経が出ています。

なので、頸椎三番から上が損傷を受け神経が障害されると呼吸筋が麻痺して危険な状態になりますす。

前頚部から骨を外すというのは恐らくそれを狙っているものと思われます。これは、必殺仕事人Ⅴ激闘編のはぐれ仕事人  壱も同じような効果を狙っていると言えるでしょう。

ただ、鉄は頸椎をピンポイントでつかんで外して(脱臼させて)います。
なので、顔が動かない状態です。壱の場合は、頚骨を捻り折るというイメージですね。仕事後は、首が捻られた方を向いています。

しかし、通常骨がねじれて折れるのを捻転骨折と言いますが、一本の長い骨に対してぞうきん絞りのように両方からの力が必要になります。とくに、頸椎は回旋が得意な関節で、ひとつひとつの椎骨が小さくて平たいので、その部分を片手で一瞬のうちに捻転骨折させるのは不可能です。

 

②背骨外し

鉄といえば背骨外しの描写が印象的です。

この骨外しは果たしてどうなっているのか??

動画でだいたい説明した通りですが、脊柱は椎間関節といって、上下の軟骨、そして周囲の5つの靭帯によって強固に守られています。

なので、簡単に外すとかずらすということはできません。

 

さらに、厚い筋肉に背骨は守られてますので、棘突起という背骨の出っ張り部分を体表から触れる事が出来ても、椎体部分は絶対に触ることが出来ないのです。

しかも、脊柱には神経の大元である脊髄が腰の下あたりからずっと背骨の中を通って延髄に繋がると動画で説明しましたが、少し補足があります。

 

脊髄を損傷すると、損傷した箇所から下がすべて使えなくなってしまいます。ここまでは動画で説明しました。

重要なのはここからで、つまりその上は生きているのです。

なので、鉄は背骨のまん中あたりで椎間関節を脱臼させていますが、そこから下の神経は確かに麻痺してしまって使えなくなってしまうでしょう…。でもその上は生きているので、すなわち呼吸筋を司る神経、頸椎三番からうえは無傷なのです。

なので、絶命はしません。

 

ただ、鉄の殺陣はレントゲン写真のようなものが用いられ、それをみるところによるとかなり大幅に椎間関節が側方に転位(脱臼してずれること)しています。

あの状態で損傷を受けて、命が危ぶまれる可能性があるのものがあります。

それは大動脈です。

脊柱の前面にある大きな血管、心臓に繋がっている大動脈。大動脈周辺に損傷が起こったりすると、大動脈が傷付き大動脈解離を起こす可能性があると考えられます。
すると、各種臓器が機能不全を起こしたり血管が破裂したり、脳に血栓が飛んだり、ショック状態になったりと様々な恐ろしい症状が現れる可能性があります。

 

なので、背骨外しの本当の恐ろしさは脊髄損傷の他に、大血管の損傷、それに伴う大動脈剥離ということになると考察できます。

 

 

 

神楽坂 東五軒町鍼灸整骨院より。

人体急所のプロである鍼灸師、柔道整復師として必殺仕事人の考察を行っている、

神楽坂で、唯一「刺絡」専門、

「動かすと痛い」症状改善の手技に力を入れている治療院です。

お辛い症状、是非当院へご相談下さい。

 

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