前立腺肥大症の患者数は、2017年から明らかに増えています。
高齢化により増える前立腺肥大。
それも、2020年は2017年から倍に増えているのです。
※出典 厚生労働省 令和5年患者調査より
その理由の1つに、高齢化があります。
しかし、なぜ急に増えたのか理由はよくわかっていないようです。
何が悪いのか。
前立腺の肥大の何が悪いのでしょうか?
別に肥大したからといって重篤な病を発症すると言うわけではありません。
ですがそれにより頻尿や、排尿困難など生活に支障をきたす可能性があります。
症状が著しい場合は治療や手術も検討せねばなりません。
症状を感じていて実際に病院を受診している人の割合は2割程度です。
前立腺の位置、役割など。
前立腺は男性の膀胱の真下にある臓器です。
尿道をとり囲むように位置しています。
20歳頃の一般的な大きさはくるみ程度と言われています。
主な働きは、精液の1部を作る。精子を保護する前立腺液を分泌するなどです。
肥大は内腺、癌は外腺。
前立腺は真ん中に尿道が通り、内側が内腺、外側が外腺と二層構造になっています。
がんは、主に外腺にできます。
そしていわるる前立腺肥大は、内腺が肥大するのです。
前立腺は40から50歳くらいまでは同じ大きさです。
その後は加齢ととともに大きくなっていくのです。
症状や受診の目安。
受診の目安は、①大きさ、②形、③硬さ、です。
これらにより、尿道が圧迫されて何らかの困難が生じた時に病院の受診を考えてください。
症状として、初期の頃は尿を溜める事が難しい蓄尿症状、過活動膀胱が起こります。
進行期は、尿の勢いが弱くなったりなどの排尿症状、低活動膀胱が起こります。
この場合、残尿量が増えて尿路感染症が起きやすくなるので注意が必要です。
残尿量が100ミリリットル以上の人は尿路感染症のリスクが約5倍になるという報告もあります。
最悪の場合、腎機能障害や腎不全につながるケースもあります。
前立腺は仮に大きくなったとしても、何らかの症状がでなければ別に大きくても構わないのです。
しかし、形や硬さにより、小さくても弊害を与える事もあるので注意が必要です。
国際前立腺症状スコア「IPSS」
前立腺肥大症などの症状を評価するための質問表です。
総合点で軽度、中度、重症を判断します。
①排尿後にまだ尿が残っている感じがあるか?
②排尿後2時間以内にもう一度トイレに行くか?
③排尿中に尿が何度も途切れることがあるか?
④尿を我慢することが難しいことがあったか?
⑤ 尿の勢いが弱いことがあったか?
⑥尿を始めるためにお腹に力を入れることがあったか?
⑦夜寝てから朝起きるまで排尿のために何度起きたか?
なし→0点 5回に1回より少ない→1点
2回に1回より少ない→2点 2回に1回くらい→3点
2回に1回より多い→4点 ほとんどいつも→5点
7点以下→軽症
8〜19点→中等症
20点以上→重症
気になる方は、それぞれ点数を出して合計点を見てください。
夜間頻尿にも注意。
前立腺肥大の他に、夜間頻尿が隠れている場合があります。
これは加齢により、尿の再吸収を促すホルモンが低下する事で起きます。
運動により下肢が浮腫まないようにする事が大切です。
浮腫むということはそれだけ水分が溜まっているということです。
運動などで下肢の筋肉を動かし、水分の排出を促すのです。
薬の副作用による排尿傷害。
抗コリン薬 抗アレルギー薬 抗うつ薬 胃薬 睡眠薬 風邪薬
など。これらを服用していて、排尿の悩みがある方は主治医に相談してください。