今日は刺絡の中でも、指先の経穴を使う井穴刺絡についてお話します。
その中でも、肺呼吸器の症状に対しての症例です。
井穴刺絡と呼吸器の症例。
手足の指先には井穴と言って、五臓六腑に通じる経穴があるとされています。
その中で肺呼吸器の症状に対して使うのは、手の太陰肺経の少商という経穴です。
手の親指の爪の付け根にあります。
裏と表の急所を使う。
ここと、肺経の表裏と言われる手の陽明大腸経、その井穴である商陽という経穴。
この二つから刺絡を行っていきます。
商陽は、手の人差し指の爪の付け根にあります。
症状。
さて、今回の患者様の症状は、発熱を伴う風邪をひいて3日経過し熱は下がったが、喉が腫れて声がほぼ出ないというものです。
脈は少し速く細かく、舌が少し赤い。
これは身体が少し熱っぽい状態にあることを表しています。喉の炎症がありますので、それを引かすために体の免疫が働いている状態と言えるでしょう。
施術。
ここで、先程説明した左右の「少商」と「商陽」から、刺絡を行います。
お話をしながら、一つの井穴から約、20から30滴ほど血を抜きます。
その後指先を消毒し、もう一度声を出して頂きます。
すると、刺絡の最中からもそうでしたが施術前と比べると声が出るようになっています。
鍼を刺されるとか血が出るということで緊張し、交感神経が優位になり、それにより気道が拡張して喉の症状が改善したというのもあるかもしれません。
とりあえずこれで様子を見て頂きます。
翌日、来院された時にお話を伺いますと、もうその日の夕方から夜にかけてで声がかなり出るようになったとのこと。
実際、お越しいただいた時にはほぼ普通にお話できていました。
夕方や夜になると、副交感神経が優位になります。すると、省エネモードになりますので気道が狭くなります。なので、気管支喘息などは夜に発作が起きやすくなるのです。
喉の症状もそうで、昼間に刺絡を行い、一時的に交感神経優位になりそれにより症状が治まっているのであれば、夜にまた症状が戻るはずです。
しかし、刺絡後夜にかけてだんだん症状が楽になってきたのであれば、刺絡をおこなうことにより、何らかの治癒機序が働き喉の症状を和らげ、改善に導いたのではないかと考えられます。
このように、不思議な経絡の流れや刺絡療法に興味のある方は是非一度お越しください。