胃の不調と胃酸。「逆流性食道炎」

胃の症状は、胃が重い、胃酸の逆流、胃の痛み、締め付けなど色々な症状があります。その中で1番多いのは胃酸によるものです。

胃酸による不調。

胃酸は常に、胃の中をpH1から2という超強力な酸性に保つ役割があります。
それは、胃の中に取り込んだ食物や雑菌などを消化、殺菌するためです。

なぜ胃は自己消化されないのか?

それは、胃粘膜から胃粘液がでて内部をコーティングしているからです。

胃酸が多くなりすぎる方は、食べ過ぎ、飲み過ぎに注意せねばなりません。

飲食物が胃の中に多くあると消化に時間がかかります。その間、長く胃酸が出続けてしまうのです。

お肉や脂質、刺激物は注意。

特にお肉や脂肪は消化しにくく、胃酸分泌もうながすので注意が必要です。
胃の調子が悪い人はしばらく避けねばなりせん。

アルコールなどの刺激物、カフェインも胃酸分泌を促します。

胃酸が多くなると、逆流して上に上がってきます。いわゆる逆流性食道炎になるのです。

なぜ胃酸が逆流するのか?

胃と食道の間には、下部食道括約筋があります。これは食物が通過する時以外は、食物が逆流しないように閉じているものです。
しかし、ふとした時に下部食道括約筋が緩む事があります。

主に、食べ過ぎの時や油物を食べた時などに緩みやすい傾向にあります。
そしてその時に、胃酸が多いと逆流して上に上がります。
上がった胃酸が食道を酸で痛めてしまう事で、逆流性食道炎を引き起こすのです。

下部食道括約筋が緩みやすい人。

下部食道括約筋の緩みは他にも、太ってい人、お腹を締め付ける服を着る妊婦さん、猫背の人、座る時間が長い人などにも多いです。

胃酸の逆流が週に2日以上あると、生活にも支障が出てきます。この辺りが病院を受診する目安です。

治療方針。

治療方針は、胃酸を抑える事です。プロトンポンプ阻害薬が有名です。最近はそれより強力なP-CABもあります。

薬を飲んでいれば胃酸は抑えられますが、やめてしまうと約9割の人が再発するそうです。

生活習慣の見直しは必須。

薬と並行して、生活習慣を見直さねばなりません。

たくさん食べない、食べてすぐ横にならない、肉や油物は控える、お酒などの刺激物は避ける、変なサプリとかは飲まない、変な時間に食べない、間食しないなど。

逆に、いわしやサンマ、あじ、大豆、ブロッコリー、レタス、アスパラガスなどを食べてください。これらには胃酸の分泌を抑えるビタミンUが含まれています。

猫背は胃に悪い。

寝る時は、左側を下にすると胃酸が逆流しにくいのでおすすめです。

猫背だと胃が圧迫されて胃酸が上に上がりやすくなります。姿勢にも気をつけて下さい。

食べ物、食べる時間、アルコール、刺激物、姿勢など全部気をつけられないと思う方もいると思います。
しかし、逆流性食道炎になるということは「健全」から遠ざかった生活をしていた可能性が高いのです。
この機をチャンスと捉えて、己の生活を見直すと良いと思います。

ピロリ菌と胃の関係。

胃の不調に関してはピロリ菌も抑えておかねばなりません。
ピロリ菌とは、胃の粘膜に棲みつく細菌です。
多くは子供の頃に感染します。大人からの口移し、不衛生な物を口に含んだなどでピロリ菌に感染するのです。
大人になってから新たに感染する事はほぼありません。
なぜなら免疫がそれなりに強いからです。

ピロリ菌は大して悪さをしません。しかし何十年も長く胃の中にいると、胃の粘膜を壊して炎症を起こします。それが胃がんや胃潰瘍に繋がるのです。
ピロリ菌感染者は、そうでない人と比べると5%ほど胃がんになりやすいそうです。

しかし、ピロリ菌がいると胃粘膜を壊されるため胃酸過多にはなりにくいそうです。

ピロリ菌の除去。

ピロリ菌を除去するには抗生物質による投薬が必須です。これをやればほぼ除菌に成功します。
ピロリ菌がいなくなると、胃粘膜が攻撃されなくなるため、胃酸が多く(普通に)でます。それにより胃酸が一時的に逆流することもあります。

食の欧米化と胃酸。

もともと日本人は胃酸が少ないです。胃酸は体の大きな欧米人が多い傾向にあります。
近年は、スペックが変わってないのに食の欧米化により日本人の胃酸過多が増えています。
今こそ日本食と、生活習慣を見直すべきです。