分岐点では「光の選択」を。意思決定と脳。

人生は電車の旅のよう。

人生は線路の上を行く電車の旅のようなものだと僕は思う。

「電車」が「人」だとすると何両編成か、内外装の豪華さ、速さなど、それぞれスペックが違う。

そして「レール」にあたるのが「生活」だろう。

では良い人生を歩むにはどうすればいいのか?

ここで思うのは、いくら「電車」をかっこよい外装にしたり、自らが進む「レール」を大理石やプラチナにしたりしてもあんまり意味ないというか、それらは本質ではないという事だ。

大切なのは分岐。

大切なのは「電車」と「レール」ではなく「分岐」だ。

「分岐」とはすなわちどっちにいくかの「選択」にあたる。

人生において人は皆、日々多くの選択、すなわち意思決定をしている。

先に歯を磨くか、顔を洗うか決めるのもいうなれば小さな選択だ。

時として、重要な選択をせねばならない場合もあるだろう。

選択をした瞬間に人生を大く左右する分岐、今は目に見えなくても後に大きくあらぬ方向へ逸れていく分岐もある。

光と闇の選択。

仮に選択を二進法で「光」と「闇」の二つとしよう。

倫理的、客観的、あらゆる側面からみてメリットがある選択を「光」。

その逆を「闇」とした場合、「闇」の選択ばかりしていると、当然おかしな方向へ電車は進んでいく事になる。

通っただけで車両が傷つくような茨の道。内外装に「とれない汚れ」がべったりつくような不潔な道。落ちたら終わりの断崖絶壁の道など。

軌道修正を掛けねば車両が走行不能になる可能性が高いルートもある。

人生の旅は片道のみ。

そして人生における電車の旅は引き返せないし循環もしない。

行ったきりで元の位置には二度と戻れない、片道のみの旅なのだ。

なのでなるべく「光」の選択をすべきだと思う。

光の方向へ行くと良い事があるというか、生き残る確率は上がるだろう。

光の選択とは?

しかし、いったい「光の選択」とは何か?(笑)

何をもって「光」なのかが重要となる。

ここが単純だが難しい。

案外、子供の方がこの選択は容易いのではないかと僕は思う。

要は「悪い事はしない」、「悪い事をしたら謝る」、「人に優しくする」、「きちんと生活する」など。

いたって基本的な事だ。

しかし大人になるとその判断が時として曇る。

解っているけど難しい場合もあれば、本来「闇の選択」なのに「光の選択」だと信じて疑わない場合もある。

だから人は道を踏み外し、問題を起こし、傷つけ、傷つく。

その背後には脳のバイアスや同調圧力、偏った思考回路、生育環境など様々な要因がある。

闇の選択を避けるには?

「闇の選択」を避けるために大切な事はまず、迷ったら即決はしない事。

ウォーキングや瞑想などの最中、無心になった時に自ずと進むべき道や、なんとなく正しい結論が浮かぶ事もある。

迷ったら決断せずにとりあえず時間を置き、無心になる事だ。

次に、そもそも決断を下す自分の脳の「行動規範」の設定が間違っている場合がある。

意思決定する際の行動規範というのは、人を人たらしめている部分を司る脳の前頭前野だ。

その他にも、恐怖や本能に直結する大脳辺縁系も関わる。

歪んだ意志決定。

何が常識で何が正義か?どうすれば快適か?どうすれば生き残れるか?

ここの部分が間違った認識でいると、良かれと思ってゆがんだ意思決定をしてしまう可能性が高くなる。

脳の可塑性と上書き保存。

脳は粘土のようなものだ。

ゴムは伸びて一時的に形が変わっても手を離すと元に戻るが、粘土は上から押しつぶせば潰れる。手を離しても元には戻らずつぶれたままだ。

脳も同じで、一度誤った情報をインプットしてそれが当たり前となった場合、前の状態に戻す事はできない。

だが「上書き保存」はできる。

良かれと思って行った自分の言動により周囲とずれや軋轢が生じた際、一度自分を客観視する必要がある。

少しづつでも自身の対応や言動をチューニングして、周囲に同調していくことが大切だ。

しかし、人によって「行動規範の上書き保存」には専門のカウンセリングが必要なケースもあるだろう。

そのような方は一度、心療内科に問い合わせてみると良いかもしれない。

「自分はダメな奴」だから「ダメな選択をする」合理的判断。

最後に、これも上記の行動規範と似た部分があるが、自己肯定感が低いのは良くない。

「自分はどうせダメな奴」という認識が「光」の選択の妨げとなる。

「自分はダメなやつ」だから「ダメ」な選択、すなわち「闇の選択」をわざと選んでいるのだ。

なぜか?

それは、決断と自身の価値に整合性があり脳に矛盾が生じないから。

そしてなにより脳のエネルギー消費の観点から楽だと判断しているからだ。

脳は新たなデフォルトを創るのにストレスを感じる。

以前のブログでも書いたが、人間は新たな思考パターンの構築に多大なエネルギーを消費するのでストレスを感じる仕組みになっている。

既存のルートはいつも使っているから少量のエネルギーで使用可能。

そのため今まで通りの「楽な方」すなわち「闇の選択」をしがちになる。

これを変えたければとりあえず「根気」と「忍耐」が必要だ。

脳が嫌がっても、新たな思考パターンが構築されるまで続けるしかない。

最初はきついが習慣化すればたぶん一カ月以内にはあまり苦を感じなくなると思う。

「自分はダメな奴」という認識で今まで生きてきて、まがいなりにもそれで得したこともあるだろう。

現在に至るまでなんとかなってきたという実績があるのも事実。

そのため自分の行動規範を今更、新たに書き換えるのは怖いし抵抗があるのも分かる。

だが、「勇気」を出さねばならない。

「自分はダメな奴」という認識を捨て、「自分はまともな人間」とか「世の為人の為に役に立つ人間」と思うのだ。

「光の選択」が出来る新たな自分の行動規範を構築して上書き保存するよう努めるべきだ。

…と、偉そうな事を思い付きで書いているが実際は難しい。僕自身が一番それは難しいと思っている。

でも何が「光」か「闇」か、大小合わせた日々の選択時に意識してみるのは面白いと思う。

「人生」という名の電車の旅で、今まであまりいい景色を見て来れなかったという方は分岐部での選択をちょっと変えて見ると良いかもしれない。

ささいな分岐を日々光の方へ少しずつ進んでいくと、人生が最適化されて見た事のない素晴らしい景色が行く手に広がっているかもしれない。