良性発作性頭位めまい症は炭酸カルシウムでできた耳石が原因で起こる。聴覚を司る内耳の前庭にある耳石が、平行感覚を司る半規管という管の中に間違って入ってしまう事により半規管内のリンパ液の流れに異常を来たすことで、「実際に身体は動いていないのに動いている」という誤情報が脳に届けられて情報処理にエラーが生じ眩暈が起きるのだ。
この「耳石」は加齢により変性を来たすことではがれやすくなるため、良性発作性頭位めまい症は高齢者に多いとされる。
また、更年期の女性にも多い。その理由はエストロゲンが関係している。人体を構成する骨は日々、作られては維持され壊されまた作られるというサイクルを繰り返しているが、その中でエストロゲンは壊した骨の吸収を抑制する役割がある。エストロゲンが充分にあれば壊された骨が過剰に吸収されないように押さえてくれるので骨密度を安定した状態で保つことができる。しかし、エストロゲンが低下するとカルシウム代謝に支障をきたして耳石の変性を促し脱落しやすくなってしまうのだ。また、骨も脆くなるので骨粗鬆症や易骨折にも注意せねばならない。日々の栄養摂取と共に、ある程度の年齢に達したら骨密度は定期的に調べた方が良い。