「html」とはウェブページを作る際に用いられるマークアップ言語の事だ。この言語を上手に駆使すればウェブページのデザインや文字の色、間隔、画像の配置など自由に創作することができる。…但し、htmlやコンピューターに関する深い知識があればの話だが…。当然、僕にそんな知識はない。
先日、当院のウェブページのhtmlを出来る範疇で少しだけいじった。その際、予期せぬ余分なスペース(余白)が出現してしまった。全角スペース3つ分くらいだろうか…定規で図ると1.7mm程のスペース。その余白のせいでメニュー画像がずれて、全体的に不格好になってしまったのだ。
すぐさま元に戻そうと試みたが、どうにもスペースが消えない。様々なネットの情報を駆使して色々見て見たり、試してみたが現れたスペースを消す事は出来なかった…。僅か1.7mmのスペースが憎く、それと同時に恐ろしくも感じた。
それというのも、html内において変更を加えた箇所をどんなに見ても変わったところや異常は見当たらないのだ。なのに、ウェブページには1.7mmのスペースが確実に存在する。自分でいじって生じたスペースだから自分で消せるはずと思って試行錯誤すること8時間…。徐々に狼狽の色が濃くなり、精神的にも日常生活にも支障が出始めてきたあたりで、プロにお金を払って消してもらった。
依頼の後に遠隔操作にて、作業開始から終了までに要した時間はたったの5分だった(笑)
作業代は4000円。僕が費やした8時間と、ウェブページが崩れたまま表示されていた3日間はなんだったのか…。無駄な抵抗をせずにもっと早くプロに頼めばよかったと思った次第だ。
しかしながら、僕が8時間もかけて消せなかった1.7mmのスペースを一体どうやって短時間で消したのかエンジニアの方に聞いてみた。すると、異常個所は通常のhtml内では見えないので、特殊なツール(VSコードエディター)を用いてそこで異常個所を見つけて消すという事をしないといけなかったらしい。
確かに、試行錯誤していた8時間の中でそんなような方法を見たような気がしたが、素人では外部ツールにhtml情報を移して修正変更したのちにまた戻すというのは非常にハードルが高いと感じ、実行しなかった。
今回のことで僕は様々な「学び」を得た。html以外の事でもだ。
まず一つ目として、日常生活の中で少しの「変化」があっただけでも人(自分)はうろたえるという事だ。程度には個人差があるだろうが、僕はかなり狼狽した。
人間は元来、変化に弱い生き物だ。昨今の世の中では、マイナンバーカード紐付けと保険証撤廃、戦争や憲法改正など。日常生活が変わるような政策による大規模なアップデートや、他文化の接近など、なんらかの「変化」とそれに対する「適応」が求められる際に人はストレスを感じる。
もっともっと身近なものに例えるならば、絶対安全領域である家の中に大きな害虫が入り込んだという「変化」が起きたとして、その対処に迫られた際に皆さんもストレスを感じるし狼狽するでしょう?
「適応」の意味は、変化に馴染む、受け入れるという事の他に、然るべき対処をして変化に対応するという意味合いもある。
今回、自社ホームページをより良い物にしようと思ってhtmlをいじったことで予期せぬスペースが生まれたという「変化」が起きた。この「変化」を受けいれる方針で行くということは、ホームページのレイアウトがずれたままの状態で今後運営していくという事になる。これを先程の害虫の例でいうと、害虫との共同生活という形になるわけだ。
対処の方針で行くと、生じた「スペース」はいわば、我が領土内に侵入した敵であるため、なんとしても打ち滅ぼさねばならない。この度は後者を選択して排除した。「変化」に対する「適応」とは「戦い」の要素も含んでいる場合がある。そのためになんらかの「変化」に相対した時、場合によっては交感神経が反応してストレスとなる。
次に学んだ事は、トラブル解決のための正しいツールを用いて、その中に「秩序」を見出す事が大切だということだ。
予てから僕は、体の異常やなんらかの症状は「秩序あるストレス」と「秩序なき抽象的なストレス」のどちらか、それかその両方が合わさった「カオス」により起きると説いている。
そして、それを改善するためには「秩序」を見つける事と、どれだけ「秩序なき抽象的なストレス」を解明して「秩序あるストレス」に変換できるかが大切だと考えている。
今回の事は正直甘く見ていた。人体の症状に比べると、htmlなどは言うなれば「秩序」の塊であり、目に見えて、手に取るように自分でどうにでもできると、今の自分の理解力をもってすれば自分で解決できると高を括っていた。が、…全くどうにもならなかった(笑)
何が原因かという「秩序」は分かっていた。html内で、誤ってエンターキーを押した事でindex.phpの中にスペースが生じたのだ。しかし、その異常個所を見つけるための方法に「秩序」を見出す事が出来なかった。上記した、VSコードエディターなるツールを用いることで初めて異常個所の「秩序」が、目に見えないスペースの実体を捉える事ができたというわけだ。
人体で例えるならば、期限切れの乳製品を摂りその後、嘔吐や下痢の消化器症状が出現したとしよう。原因が食中毒であったとしても、度重なる嘔吐や下痢により、脱水、pH異常を起こす事で自家中毒に陥り、解毒が済んだその後も消化器症状が継続する場合もあるだろう。その際、吐き気止めのツボを押したり、市販の整腸剤を飲んだりお腹を温めたりしてもなんの効果もない。さらには、食あたりだと思っていたが実はウイルス感染による胃腸炎かもしれないし、自律神経失調による消化器症状なのかもしれない。
この場合はまず専門医による血液や酸素分圧、尿など然るべき理学検査を用いて、人体の状態を正確に知る必要がある。そして、原因を知ったのちに適切な対処をすることで初めて症状緩和がなされるのだ。症状とその原因が解っていても、正しい検査法(ツール)を用いて原因を可視化しなくては病の正体とその対処法は見えてこないのだ。
最後に思ったことは、「餅は餅屋」だという事だ(笑)
僕は一臨床家であり、プログラマーでもITエンジニアでもない。好むと好まざるとに関わらず、今の時代はITリテラシーと多様性が求められているという事は僕自身、肌で感じている。そのため今回、この程度の事は自力で知識を付けて解決しなくてはと意気込んだが、そもそもの原因は「そこ」にあるような気がする。
無論、例え専門外でも、容量がよくて賢い人間ならば自力で解決できるのだろうが、悲しい事に僕はそうではない。
専門外の人間が8時間かかっても解決できなかった問題を、専門家はものの5分で解決した。「餅は餅屋」これに尽きる。これからの時代、多様性やITリテラシーも大切だが、本当に大切なのは何かに特化した「高い専門性」を身に付ける事だと思った。