不眠に対してのアプローチ。

不眠に対してのアプローチは基本的に「交感神経」の働きを抑えて「副交感神経」を優位にする事が重要となる。とにかく体と心をリラックスの状態に持っていくことが大切なのだ。

それには自律神経にアプローチをして「平」にしていかねばならない。

自律神経に影響を与える方法としては、刺絡、無血刺絡、井穴刺絡、鍼灸治療など様々ある。効果が出やすいポイントも体中にある。だが、真の意味で不眠を改善するには施術による外的なアプローチの他に、自己の内的働きかけと、生活習慣の改善が絶対的に必要だ。

1 早寝、早起きをして生活の規則正しいリズムを作る事。

不規則な生活をしていると概日リズムが乱れる。するといつ寝ていつ起きるのか、それに合わせていつごろから体をリラックスさせればいいか脳と身体が混乱して寝たい時に寝れなくなる。規則正しい概日リズムを体と脳に教え込むことが大切。

2 夜はシャワーだけではなくなるべく熱めのお湯につかる事。

お湯につかる時は少し熱めにして顎までつかるようにする。お湯につかる事で身体に圧をかけることが出来る。それにより下肢に溜った余分な水分や老廃物が動きだして尿として出やすくなるので浮腫み防止やデトックス、疲労回復効果がある。それに「熱い」という感覚刺激は副交感神経に働きかける。

3 意識してウォーキング、筋トレなど運動する事。

運動不足では寝れないだろう。なぜならばカロリーを消費していないし疲れていないからだ。ただ生きているだけでも基礎代謝があるし、ご飯を食べても代謝は上がる。しかし根本的に運動して疲れないと眠くはならない。

4 スマホやパソコン、テレビ画面などを寝る前に見ないようにするデジタルデトックスを心がける。

光る画面を見ると覚醒状態になりやすいので寝る前はさけたほうがよい。映像や文、その他の情報が映し出されるスクリーンには感動する内容や勉強になる内容もあるだろうが、ほとんどの情報はたいして価値のないゴミだ。そのどうでもいいゴミのような情報が脳に残って、それを脳が処理するために寝れなくなる。価値が無くて脳に負荷が掛って目が悪くなるようなものは見ない方がよい。あと、スマホも家庭にあるWi-Fiも電磁波が飛んでいる。電磁波に対して過敏になりすぎるのもよくないが、寝る前は両方とも電源を切り、頭から離れた所に置いておいたほうがよい。寝る前にどうしてもスマホを見てしまう方はなおさらだ。

5 食事はなるべく添加物、人工甘味料、アルコールをさけること。

添加物や人工甘味料が身体に悪いことは知られている。アルコールは少量ならいいとも言われるが、はっきり言って摂らないにこしたことはない。たとえ少量であっても、アルコールは分解すると糖質になるし、そもそも毒は毒だし、依存症にもなる。食品添加物、人工甘味料、アルコールなど身体によくない物質を避けることで体の自浄作用を高めるのだ。

6 煮干しなどよく噛むものを毎日意識的に食べること。

朝ご飯は栄養配分完璧なスムージーを飲むのがおしゃれで前衛的だと思って毎日飲んでいる人もいるだろう。栄養は確かにそれで取れているかもしれないが、噛まずに飲むだけだ。歯ごたえのある食べ物を食べなくてはならない。硬いせんべいや、煮干しなどが昔はおやつで出されたものだ。だが今では品質が改良されて、柔らかくて食べやく口なじみがよいお菓子だらけだ。現代人は歯ごたえのあるものを意識的に取らなければならない。特に朝ご飯。人は噛みしめると歯根膜受容器が働いて交感神経が優位になる。これにより朝のスイッチが入り、一日の生活にメリハリがつく。それに、たくさん噛むことで善玉菌が小腸に行き届きやすくなったり、認知症や寝たきりの予防にも繋がる。理想は一口あたり50回は噛むこと。

7 変なサプリメントをやめて、薬もなるべく飲まないようにする。

よかれと思って自己判断でサプリメントをたくさん飲んでいたり、医療関係の人間のSNSで紹介されていた栄養素を訳も分からず摂取したり、表には出てこない謎情報を元に通常の用途ではない薬品を薄めて飲むなどそういうわけのわからない事はしない方がいい。それが例え医師のお勧めだったとしてもだ。基本的に医師や薬剤師、看護師は自身のSNSでエビデンスがなく一般人に誤解を与えるような情報は発信しない。しかし、まれにとんでもない理論を堂々とSNSで紹介している医療関係者もいる。変なのを真面目に摂取し続けたせいで体がおかしくなった例を何人か見た事がある。変なものは摂取してはいけない。それが市販されているサプリメントであってもだ。どうしても飲みたいなら掛かりつけの医師に相談するべきだ。断薬と言っても医師から処方された薬は別だ。いきなり処方薬を止めてバイタルが不安定になってしまう場合があるからそこは自己判断しないで欲しい。薬はなるべく飲まないに越したことはないというのは、要は、あまり効いている実感がない痛み止めとか睡眠薬、精神安定剤などだ。やめたことで生命に関わる重篤な症状を招くとか、明日のパフォーマンスが著しく低下するなどの事が特にないなら、少しづつ無理のない範囲で断薬を行うべきだと思う。薬に頼るとその分本来身体に備わっている機能がさぼってしまい劣る。それにその慢性的な不定愁訴を真の意味で克服するための努力、原因の究明を患者さん自身がしなくなる。

8 座禅をすることも大切。

「添加物を避ける」と「デジタルデトックス」の項でも述べたが、身体と脳にとってごみの様なものは避けた方が良い。それにより自己浄化作用を高める事が出来る。本来病気や身体の異変を治す力があっても、添加物やアルコールなどのごみや毒を浄化するのに使っているので手が回らない、回りにくいのだ。精神と思考も同じで、ストレスや雑念、さっきまで見ていて脳に焼き付いているデジタル情報などのごみや毒が溜っていると、寝ようと思ってもごみの処理に力を取られて寝るために力を使えないのだ。そこで重要なのが、精神と脳のデトックス、すなわち瞑想であり座禅だ。座禅については別の機会に詳しく書いていこうと思う。

これらを行うことで大分違うはず。できることから実践してみてほしい。