コルヒチン、下痢、痛風について。

コルヒチンは抗炎症作用がある。痛風、アミロイドーシス、原発性胆性肝硬変、ベーチェット病、SWEET病、再発性多発性骨軟骨炎などに使われる。急性炎症の主体をなす多核白血球に何らかの影響を与えていると考えられている。多核白血球には、①運動の方向性を決定する微小器官であるmicro tubles(微小管)や、②細胞内の筋肉ともいうべきmicro filament(微小線維)がある。コルヒチンは細胞内でmicro tublesによる方向性を破壊することでその作用を発揮すると考えられている。※多形核白血球とは白血球の中の顆粒球のこと。顆粒球は好塩基球、好酸球、好中球がある。幼弱な顆粒球の核は馬蹄形をしてるやつもあり、成熟して2~5の核になることから多形核白血球といわれる。

例えば痛風。痛風は関節内に尿酸ナトリウムの針状結晶が出てくる。関節内に存在する多核白血球がこの結晶を貪食する。これが刺激となり白血球内で他の多核白血球に対する遊走因子が生産されて急激に大量の白血球が関節内に集積する。それらの多核白血球が針状結晶を貪食する際にタンパク質分解酵素や活性酸素を放出する。これらの物質が針状結晶の他に関節組織も破壊するので激痛になるのだ。その際にコルヒチンを投与すると他の多核白血球の遊走が阻止され炎症がそれ以上進まないように押さえる事ができる。白血球の遊走を抑制するには1㎎のコルヒチンで十分。コルヒチンは、線維芽細胞に作用してコラーゲンを分泌して線維化を阻止してくれる。他にもリンパ球のmicrotubules(微小管)のas-sembly(集合?)を阻止することで免疫系にも何らかの影響を与えていると考えられる。

コルヒチンの副作用は強い。下痢の症状がでる事が多い。胃粘膜には異常を示さないが小腸粘膜は絨毛の萎縮と2糖類分解酵素やアルカリフォスファターゼの活性低下を示す。その下痢にはラクターゼ剤が有効とされる※腸の働きを正常に保つラクトミン(乳酸菌)と、酸に強くて腸まで届く糖化菌(納豆菌)、でんぷんとタンパク質の消化を助けるビオジアスターゼ(複合消化酵素)を主成分とした整腸剤。

コルヒチンは小腸吸収上皮細胞のNa-k-ATPase(ナトリウムとカリウムを細胞内外に輸送するために膜を貫通させるタンパク質)活性を低下させ水の吸収不良を起こす。つまり、ナトリウムとカリウムの細胞内転送障害を起こす。

まとめると、コルヒチンを飲むことで小腸の絨毛萎縮→高さと太さの減少→吸収面積の減少+二糖類分解酵素や Na-k-ATPase 活性低下により細胞内転送障害が起こる。ということになる。

コルヒチンによる下痢が強い場合は量を少なくする。日本人は一日3錠までならほとんど下痢が起きない。(一錠0.5㎎)一日5錠だと下痢が起きる確率は30%、6錠だと70%。でも、コルヒチンによる下痢は服用を止めれば治る可逆的な消化管障害。

今回は、身内で自己免疫疾患を持っていてコルヒチンを医師から処方されて飲んでいるが、用法容量を守って飲んでいても下痢症状がでるし、その割に自己免疫疾患の症状もそんなによくならないという状態だったもので調べてみた。

ja (jst.go.jp)

コルヒチン (jst.go.jp)

こちらから抜粋

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