乳がんとエストロゲン、骨粗鬆症の関係について。

女性は9歳ごろからエストロゲンが出始めて乳房が膨らみ始めて15歳くらいでほぼ大人と同じくらいに成長する。しかしその段階では乳腺の発達に関しては未熟。その後、妊娠が成立すると視床から性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン刺激ホルモン)が分泌されてエストロゲンが高値を保つようになる。これにより乳腺の分枝や腺房の形成が促進されて乳汁をつくる準備が整う。

エストロゲンの分泌量は30歳前にピークに達すしてその後は低下する。さらに40歳代になると著しく低下してやがて閉経を迎える。でもエストロゲンは別ルートで産生され続けている。

乳がんの最初の発生は40歳代に多い。エストロゲンが急速に低下する年代だが、分泌量が減る一方のエストロゲンを少しでも多く受け止めるために乳管上皮細胞ではエストロゲン受容体が増える。この受容体と結びついたエストロゲンは細胞分化や細胞増殖を促す働きがあるため、乳がんの発症につながると考えられている。細胞が増殖する際にどうしてもコピーミスが起こる。それがいわゆる癌細胞。通常は白血球の働きで消されるが、末梢を免れたエラー細胞が放っておかれて癌化する。いくら白血球とはいえ、エラー細胞でも元は同じ。親和性が多少なりともある。なので攻撃の手を免れるケースがある。なので、細胞分化や細胞増殖が多く起きている箇所はそれだけ癌細胞が生まれるリスクが高い。

一方で現代では、体格の向上や食生活の高脂肪化により日本人女性の体内ではより多くのエストロゲンが分泌されるようになっている。こうした状況で乳腺は何らかの発がん刺激によって傷ついた細胞がエストロゲンの影響をうけて増殖して癌化していきやすいとも考えられる。

エストロゲンと骨粗鬆症の関係。

骨粗鬆症は骨の量が少なかったり骨の中身(構造)が悪くなり、そのために骨の強さが脆くなって骨折しやすくなる。女性ホルモンが骨の代謝を調節しているため閉経で女性ホルモンが減少すると骨粗鬆症になりやすい。

女性の骨量は思春期から増加し始めて20歳代の性成熟期までのに最大量になる。40代に入ると卵巣機能が衰え始めてそれと同時に骨量も減少し始め、女性ホルモンであるエストロゲンも急激に低下する。閉経前後の50歳代からさらに骨量は減少する。

エストロゲンは破骨細胞と骨芽細胞の両方に作用しているが、この場合は特に骨芽細胞に影響をあたえていると言えるだろう。それは、閉経にともなうエストロゲンが欠乏することで破骨細胞による骨吸収が亢進して骨量が減少すると考えられているからだ。簡単にいうと、骨が作られ壊されまた作られというサイクルが、作られを上回って壊されが進行し、その結果骨がスカスカになる。

女性ホルモンの一種であるエストロゲンは骨の新陳代謝に際して骨吸収を緩やかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがある。そのため閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下すると急激に骨密度が減り、同年代の男性と比べて骨密度が低くなる。

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