一般臨床医学。帯状疱疹について。

帯状疱疹は日本人の3人に1人。通常薬を使えばだいたい治る。しかし夜も眠れないような激しい痛みなどの後遺症が起きることもある。

帯状疱疹の症状は、赤い発疹が帯状に出る、ちくちくズキズキする痛みや痒み.。

年齢としては50代から徐々に多く発症する傾向にある。

人口千人あたり、10歳未満26.2 10代2.5 20代2.5 30代2.5 40代2.9 50代5.49 60代7.6 70代9 80代8.5 90代6.93%

50代以上の人が7割を占める。帯状疱疹の原因は水疱瘡のウイルス。水疱瘡は5歳までに85%の人がかかる。

症状は通常一週間程度で収まる。しかしウイルスは死滅したわけではなく、その後数十年にわたって体の中に潜んでいる。疲れやストレスで体力が落ちたり免疫力が弱くなってしまうと潜んでいたウイルスが神経を伝って体の表面に現れる。そこで引き起こす皮膚と神経の炎症がピリピリとした痛みなどの症状となる。

治療には抗ウイルス薬や抗炎症薬が用いられる。

帯状疱疹のウイルスは背骨の神経の根元の近いところである神経節に潜んでいる。ウイルスが神経から皮膚に到達すると発疹が出てくる。帯状疱疹になりやすい人は膠原病を患っていてステロイドを長期的に使っている方、糖尿病、悪性リンパ腫、白血病の方もなりやすい。

帯状疱疹は他の人に移るのかという事だが、帯状疱疹を発症した方から水疱瘡にかかった事がある人にはうつらない。しかし、帯状疱疹を発症した人から水疱瘡にかかった事がない人にはうつる。そもそも帯状疱疹は水疱瘡になったことがないとならない。

帯状疱疹の感染で特に注意が必要なのは、水疱瘡に罹ったことがない妊婦さんに絶対移さないようにしないといけないということ。妊娠2から8週くらいの間に水疱瘡にかかってしまうと胎児に水疱瘡が感染する可能性があり、先天性水痘症候群、白内障、発達障害、脳の萎縮などのリスクがある。

その他、うつさないための注意点としては手で発疹部分を触らないようにする、服やガーゼでその部分を覆う、お風呂は最後に入るなどを心がける。

治療薬の抗ウイルス薬や抗炎症薬を使った治療は早期(3日以内)に開始する。その方が発疹の拡大を防いだり跡が残りにくい。治療開始から治るまで、痛みは約1週間から2週間、発疹は2週間から3週間くらいで治まる。

帯状疱疹による激痛は二つの種類がある。一つはウイルスにより炎症を引き起こすタイプのピリピリした痛み。二つ目は神経障害性疼痛。ウイルスによる炎症が強いと神経が傷つけられ神経が破壊されることがある。それにより炎症が治まった後でも激しい痛みが残ってしまうことがあるのだ。

帯状疱疹の後遺症、50歳以上の人の2割が3カ月以上痛みが残っている。

神経障害性疼痛の場合、抗てんかん薬や抗うつ薬、など神経に作用する薬を使われる。鎮痛薬が効かない場合はオピオイドを使う。オピオイドは強いのと弱いのがあり、脳脊髄、末梢神経などに作用する医療用麻薬。その他、神経ブロック注射も使われる。

当院でも帯状疱疹の患者様が今までに数名お見えになられたが、電気療法や温め、電気鍼。刺絡などで改善が見られた。しかし帯状疱疹の場合、まずは病院を受診して頂きたい。

帯状疱疹の発症部位として、体幹部31.2 腰臀部19.6 下肢17.1 上肢14.5 顔面部17.6%

顔に発症した場合は注意が必要。三叉神経の第三枝、(顎から耳の方に続いている部分)に炎症が起こると顔面神経麻痺、ラムゼイハント症候群を引き起こしやすくなる。三叉神経第一枝(目の方から鼻にかけてを支配)のあたりで炎症が起きると結膜炎、角膜炎、視力低下などを招くケースもある。お尻のあたり、仙骨周辺に出た時は尿や便が出にくくなるという症状が起きる事もある。帯状疱疹は一度起きると10年くらいはそうそうならない。しかし、一度起きたら上記のような事もあるのですぐ病院へ。

帯状疱疹と見分けがつきにくいのが単純ヘルペス。帯状疱疹は見分けが難しいが最近は検査キットがある。発疹部分をハサミで切り綿棒でその部分の皮膚の細胞を摂取して溶液を垂らして10分程すると結果が出る。帯状疱疹の予防としては、水疱瘡のワクチンをそのまま応用したワクチンがある。これはウイルスを弱めた弱毒生ワクチンなので、免疫抑制状態の方や免疫不全の方には使えなない。予防効果は50から60%。