「一般臨床医学」加齢黄斑変性について。

外から入ってきた映像を映し出す役割をするのが目の網膜です。その中でも一番感度が良い所を黄斑と言います。

顔を動かさないで正面をみた状態で両目併せた場合の視野は約100度ですが、しっかりとよく見える部分はわずか5度程度です。

この5度を見るのに使っているのが黄斑です。

物を見る際に、水晶体を通じて映像が入って網膜が捉えて視神経を通じて脳に映像を伝えるという仕組みになっています。網膜は中心に行くほど感度が良くなります。その中央には直径6ミリ程度の黄斑があります。黄斑の真ん中はくぼんでいてそのくぼみで物の形や色を見ています。

加齢黄斑変性になるとこの黄斑に出血やむくみが起きてしまうのです。黄斑変性のタイプは大きく分けて2つあります。

1つめは、黄斑の下に新たな細い血管が出来てきてそこから血液が漏れ出て黄斑が膨らむという浸出型黄斑です。

2つめは、網膜の組織が萎縮することで黄斑がダメージを受けて視力が低下する萎縮型の黄斑があります。

浸出型と萎縮型の割合は9対1です。

症状としては共に、景色がゆがんで見えたり、中心部が暗くなる、見たいところがはっきり見えなくなるなどです。黄斑変性により落ちてしまった視力は戻る事はありません。

黄斑変性の原因としては、加齢、タバコ、油、遺伝などと言われています。中でも、黄斑変性原因の3分の1はタバコだそうです。タバコを吸うと、軽い炎症を起こすわけです。身体のどこかでダメージが起きたと体と脳が認識します。なので新たに新生血管ができやすいのです。

悪い油のが原因で起こる場合は特に牛肉の脂、揚げ物、加工食品、油の多い乳製品が良くないです。

遺伝に関しても家族や身内でこの疾患を持っている方がいると発症しやすいという関連性があるそうです。

あとは、長年の高血圧もどこかで循環障害を起こしているために組織の老化が進みますので黄斑変性を惹起させる原因となります。

加齢黄斑変性の多くの場合、視力は落ちますが失明はないです。完全失明にならない理由は、大きいものや動いているものは黄斑周辺の網膜で捉えることが出来るからです。

黄斑変性が気になる方はまず自分でチェックすることが大切です。

片目ずつ見え方を確認する、ちゃんと字が見えるか、ゆがんでないか、もしも自分でこれらが自覚できるようならかなり進行しています。とにかく早期発見早期治療が大切です。きになる方はすぐに眼科を受診してください。

病院で行う検査は、視力検査、眼底検査、OCT検査などです。

眼底検査では、出血や、黄斑変性が起きている兆候がないか確認できます。黄斑変性は、網膜細胞から出る老廃物であるドルーゼンが出てると起きやすいと考えられています。黄色い粒っぽいもので、これが眼底検査で確認できると一カ月で発症する場合がありますが、数年で発症する、人によっては発症しないという場合もあります。ただ、このドルーゼンはがたくさん確認できると発症のリスクが高くなりますので必ず定期検査が必要です。

OCT検査とは、網膜の断面の写真です。黄斑変性が起きると新生血管から出血や漏れ出た水分でむくみが出て膨らみが出来ます。それを確認する検査です。

治療法は、抗VEGTという注射があります。これは新生血管の発生や成長を助けるタンパク質を抑制する効果があります。目に麻酔をしてから直接目に注射します。4週に一回の頻度だそうです。薬の効果が切れると症状が出てくるので継続が必要です。

他にはPDT光線力学的療法というのもあります。これは、まず光に反応する薬品を静脈注射して黄斑部に特殊なレーザーを当てます。すると新生血管に集まった薬品が光に反応して新生血管を詰まらせて成長を押えるという方法です。術後は光刺激に注意が必要です。新生血管の端っこにポリープが出来る場合がありますが、そのタイプの黄斑変性にこの方法は有効だそうです。

予防のためには、抗酸化ビタミンやルテインが良いです。パプリカなどに含まれるビタミンC、カボチャなどに含まれるビタミンE、ニンジンなどに含まれるβカロテン、これらは目の酸化を防ぐ抗酸化ビタミンです。目の色素を守る、ほうれん草、ブロッコリー、にはルテインが入っています。

その他、オメガ3多価不飽和脂肪酸は魚類に、亜鉛はカキ、豚レバーに入っています。これらも良いです。

欧米の治験で5年間上記の栄養素が含まれたサプリをとり続けることで良い目の方の発症が25%減ることが解っています。

目の症状できになる場合は一度なるべくはやくに眼科を受診してください。