「一般臨床医学」鼓膜に穴が開いた時。

もしも鼓膜に穴が開いたとしても自然に再生して穴はふさがります。しかし、何らかの原因で鼓膜が再生されずに穴が開いたまま生活している人が全国に100万人以上いるのです。

鼓膜に穴が開いてしまう主な原因としては中耳炎、耳かきなどによる外傷、急激な気圧の変化などが考えられます。

鼓膜の穴による影響としては聴力の低下、認知症のリスク、耳鳴り、めまい、補聴器の効果が出にくいなどです。

鼓膜に穴が開いていると外耳道から細菌やウイルスが入り感染症を引き起こしやすくなり、再生を妨げる要因になります。

穴が大きいと再生した細胞の支えがないために全体を覆うことができず、穴が開いている部分まで到達できないのです。

対処法としては、鼓膜形成術、鼓膜再生療法があります。

耳の後ろの皮の組織を鼓膜組織に代用するという方法です。副作用としては傷跡が残るという事です。後遺症としては皮を切る際に神経も切ってしまうのでその部分だけ感覚がないということです。

鼓膜再生療法は顕微鏡及び内視鏡を使って行われます。鼓膜周辺に麻酔をかけて穴の周囲部を傷つけます。そうすると鼓膜のもとになる細胞が活性化して穴の両側の増殖が始まります。さらに、細胞の成長を助ける薬剤を浸したゼラチンスポンジを穴に詰めることでより鼓膜の再生を強く促します。最後に医療用ののりで蓋をして接着固定します。3週間後にかさぶたをはがすと鼓膜が再生されているという段取りになっています。

元々鼓膜は円錐状の立方体構造となっていて平面ではありません。なので穴が開いたところに対してサランラップのように平面で覆うのは難しいのです。なので上記したゼラチンスポンジを使う事で複雑な鼓膜の形のところにいい感じでフィットするのです。ゼラチンスポンジは生体吸収素材なので耳の中に残ったスポンジは体内に吸収される仕組みになっています。

鼓膜再生療法の実績は約500で約85%が完全に再生しているという事です。1~2回の治療で75%が完全に再生するようです。たとえ完治しなくても聴力が上がるという効果が今のところ確認されています。

副作用、後遺症としては約30%の患者さんに軽度の炎症、アレルギー反応が起こる場合があります。

治療適応の条件として、耳の穴が狭すぎない、炎症がなく乾燥している、鼓膜鼓室の手術経験がないという方でないと無理だそうです。これは、鼓膜の基となる細胞が先の手術で取られてしまっている可能性があるからです。