ボルダリングによる指の痛み。曲がらない指は曲がるのか!?

今回は指の痛みの症例です。ボルダリングをされている方で、指を酷使し、体重を指でささえるというハードな使い方を何年もしているうちに指を曲げると痛くて、正常可動域一杯に曲がらなくなってしまったという症例です。

私事ですが最近ボルダリングを初めまして、ありがたい事にその繋がりの方が患者様としてご来院頂いております。

さて、指の痛みという事ですが、どこが痛いかと言うと関節部分が痛いと仰っています。一般的に指の痛みと言うと使い過ぎによっておこる腱鞘炎を考える方も多いと思いますが、腱鞘炎の場合は手のひら側の指の付け根あたりが痛くなります。何度も指を曲げたり伸ばしたりすることで腱と腱鞘の間で摩擦が生じて炎症が起こって痛みが出ます。これが悪化すると痛くて曲がらなくなったり、腱鞘が肥厚してばね指になります。

一方、ボルダリングで痛めた場合は、指を何度も曲げ伸ばししているわけではなくて、曲げた状態で強い力がかかっています。要は、腱以外に関節部分に負担がかかっているのです。このような状態が週に何回も続き、それが何か月、何年と積み重なると、負荷がかかる関節の変形が起こります。DIPで起きるとヘバーデン結節、PIPだとブシャール結節と言います。変形性関節症は何も加齢によっておこるだけではなく、強い外力の積み重ねでも起こります。関節部分に強い力がかかって軟骨がすり減ってつぶれてきます。それにより骨の形も変わってきて、曲げ伸ばしの際に可動域一杯に曲がらなくなるという症状が出ます。

現に、僕の親指も十年以上マッサージや指圧みたいなので酷使し続けて左はいいけど右は曲がらなくなっています。どんなことをしても最後まで曲がりません。無理やり曲げると痛くなります。マッサージとか指圧の場合は垂直方向の圧が関節にもろにかかりますが、ボルダリングの場合は曲げた指の関節と屈筋腱全体に負担が掛かります。なので、まだなんとかやりようがあります。

施術法ですが、まずは特殊な粒粒が付いたゴムのマッサージパットがあるのですが、それで指全体を包んで血行を良くしていきます。その後、無血刺絡で指の神経、血管の走行に沿って刺激を与えていきます。あとは屈筋腱、伸筋腱、関節面にも刺激していきます。最後に、痛む部分に超音波をあてて終了です。

これで、いらした時に比べると、多少曲がる方もいれば、かなり曲がる方もいますし、思いっきり曲がるようになって手掌につかなかった指が付くようになる方もいます。これは損傷の程度と症状の年季の入り具合、年齢などにもよります。

ただ、一つ言える事はここで楽になったとしても繰り返しケアを行っていかないと改善はしません。なぜならば、簡単に言うと指の強さが5しかないのに6~7の負荷をかけているからです。1~2余ります。それが蓄積して確固たる症状になるのです。しかしそうは言っても、お仕事や趣味など、どうしてもやりたい!辛いけどやらなくてはいけない!という場合があります。そんな時は、せめてこれだけは覚えておいてください。

「レスト」「プロテクション」「ケア」なるべく使う時以外は休める。無理しない。使うならばテーピングなどで守る。使い終わったらケアをするという意味です。これをしっかり守れば極力損傷を防ぎ、末永く使う事ができます。

神楽坂 東五軒町鍼灸整骨院より。