今回の症例は、後ろに転倒して腰周辺を打ち付け腰が痛くなったという症状です。転んだ時、明らかにぶつけた所は痛いですが後になってぶつけた箇所以外のところが痛くなったり、こんなところも痛かったのかという思いもよらぬ箇所が痛むことがあります。
動かして痛む症状としては、腫れ、熱感、外傷、安静時痛はなく、ぶつけたであろう箇所の圧痛もあまり著明ではない、しかし左右側屈や回旋時痛があり、中でも前屈時痛が著明という状態でした。
強くどこかをぶつけて痛むというのを「打撲」と言います。一般的に痛めて間もない急性期の打撲の際は冷やして、固定して安静にするという方法が取られます。部位にもよりますが、手足などであればそのような形で安静固定アイッシングが第一とされています。
では腰の場合はどうか、動けないくらい激しい痛み、腫れ、熱感などがある場合は確かに多少冷やして安静にして様子を見る、その後病院へ受診し画像診断という形になると思います。
でも、そこまで強い症状が無いような今回のケースであれば今よりも辛い症状が多少は改善できる余地はあると考えます。
ではどのよう施術していくのか、まずはよくよくお話を伺います。どのように転んでどこに力がかかったのかを見極めていく必要があります。
お話を伺うととっさの事であまりよく分からない、しかし腰や背中全体的に痛い感じがするとのことでした。
痛めた箇所に圧痛が著明ではないことも併せて恐らく、転倒した瞬間に無意識のうちに様々な箇所の筋肉に力が入ってかばってしまったのではないかと仮説を立てました。
そこから痛む動きである、左右側屈、回旋、前屈の際にどの部位が関係しているのかを調べていきました。
結果、臀部の筋、腰の側面の筋、奥の方の筋肉を押える事でかなり運動時痛は改善することが出来ました。
しかし、やはり一番辛い前屈時痛があまり大きく改善しません。そこで、ここにきて初めて痛む局所に無血刺絡を行いました。
その結果、前屈時痛はかなり改善しました。動きがかなりスムーズになり患者様も驚いていらっしゃいました。血管を拡張して発痛物質を散らして、軸索反射により痛みを抑制する機序が働き除痛が行われたと思われます。でもその時は改善しても症状が時間の経過により症状が戻ってくる可能性がありますので、継続して施術をしていく必要があります。
痛みの除去に関して無血刺絡は確かに効果が期待できますが、とっさの転倒などの場合は自分でも気づかない箇所が痛んでいるケースも大いにありますので、痛む部位の訴えがたとえ一カ所だけだとしても全体や関連している箇所を見ていかなくてはいけません。
神楽坂 東五軒町鍼灸整骨院より。
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