今回は、3カ月前に転んで脇腹を痛めてその後、整形外科で肋骨骨折と診断された患者様です。
肋骨の骨癒合に有する期間はグルトの分類によると、約3週間です。
治療方針。
肋骨骨折が認められた場合、基本は安静固定です。
よほど強い転移があったり肺の損傷が懸念されないようであれば経過観察しながら患部周辺に電気治療器をかけて、湿布を貼って、バストバンドで固定するというのが一般的なリハビリと処置法です。
レントゲンでよーーく見ると薄く骨折線が入っているケースが多いです。
これを肋骨の不全骨折と言います。
電気、湿布、バストバンドはマスト。
電気治療器は痛みを訴えている神経の鎮静、および神経回復作用がありその他電気刺激を入れる事で骨折部分の骨融合が促進されるという効果があります。
外傷の場合は、安静固定が回復を早めますのでバスしトバンドでしっかり固定します。
いくら転位がないにしても骨がある程度くっ付くまでは痛みが強い時もありますので、とても痛い場合は医師から痛み止めや湿布薬が処方されます。
湿布のみでは弱い…
今回の患者様は、診断後特にリハビリをしたわけでもなく、苦しいという事で医師同意の上でバストバンドもつけず、ただ湿布を貼ってしのいでいたという状態でした。
しかし、軽い不全骨折と言えども痛みが強く出る事もあります。
特に、初期の段階で適切な固定や理学療法を行っていないと余計に後々痛みが出る可能性があります。
折れた骨は基本的に、患部が安定していれば痛くないです。
そして、骨折部の骨が自ら治ろうと細胞レベルで骨癒合にむけて動いている期間は痛みを感じやすいと言います。
しかし、来院された患者様の骨折は3カ月も前の骨折なので骨癒合の機序が今でも起こっているとは考えにくいです。
時間が経った骨折、なぜ痛い?
ではなぜ痛みが強く出る事があるのか?
これははっきりとしたことは言えませんが、様々な事が考えられると思います。
折れた骨はリモデリングといって、元に戻る力が働きます。
しかし、このリモデリング機能は歳をとるほど衰えてきます。
患者様は年齢も高いので、一度折れた部分が完全に120%元に戻120%っているかと言われればそうではないと思います。
その他、痛みがあるからとあまり動かさないでいて血の巡りが悪くなり、それにより内因性発痛物質が停滞しやすくなる事も一理あります。
細胞レベルの慢性的な血流不足と脱水。
慢性痛の原因は、痛んだ骨折部の細胞にあるともいえます。
一度骨折により痛んだ細胞が、自信を回復させるために周辺の細胞から水分や電解質を引っ張ってきます。
それでも足りない時は、周辺の血管の血液から水分を引っ張ってきます。
それをずっと繰り返していると、慢性的なその部位の血流不足や細胞レベルでの脱水が起こってしまうのです。
症状。
話を戻します。症状としては、ただ座っているのだけでもキツい、左右回旋時痛がある(特に右回旋)、その他起き上りや寝返りなどです。
まず、座っているよりも立っている方が楽とのことでしたのでこの状態で素早くどの部分が引き金となって痛みが出ているのか評価していきます。
腰の横側周辺、腹斜筋、腰方形筋、腹横筋、要腸肋筋などが肋骨にくっ付いていますのでここを押えて緩めてみました。
すると、回旋時痛がかなり解消されたと仰って頂きました。
しかし、手を離して暫くするとまた痛みが戻ってきてしまいます。
そこで、先程効果が出た筋肉の部位と肋骨の部位に血管を開かせる作用がある無血刺絡の刺激を加えました。
すると、かなり楽になったけれど、痛みが前の方に移動したとの事でした。
そこで、今度は肋間神経の走行に沿って刺激を加えました。
それにより前側の違和感は解消されたとおっしゃって頂きました。
その場は良くても、また時間の経過とともに症状は出てくる可能性はあります。
なので、自宅でのセルフケアと来院して頂いてのメンテナンスや施術がとても重要になります。
セルフケア方法としては、なるべく温めるという事と、腰の横の筋肉を押えながらの体幹を捻る体操を指導させて頂きました。
お辛い慢性症状には鍼と整体が効果的な場合があります。
お辛い方は是非、神楽坂東五軒町鍼灸整骨院へお越しください。