今回は、整形外科で行われる局所麻酔の注射が効かなかった肩の痛みの症例です。
よく病院で「注射をする」といいますが、それは様々な種類があります。
予防接種もあるし、点滴も一応針を刺します、血液検査もあるし、他の種類のカルシウムやニンニク注射などもありますね。
でも、整形外科で勤務していた僕が知る中で痛みに対しての注射は、ブロック注射、ヒアルロン酸とキシロカインの混合注射、キシロカインの局所麻酔注射の三つ主なものでした。看護婦さんやお医者さんに言わせれば他にもあるかもしれませんけどね。
その中で、どこが痛い?とお医者さんに聞かれてここっていう箇所にそのまま注射をするのはキシロカインの局所麻酔薬である「トリガー」と言われる注射です。部位が関節だと、これに潤滑液であるヒアルロン酸を足した注射をすることもあるようです。
今回の患者様のお話ぶりだと、場所的に考えても恐らく「トリガー」と言われる局所麻酔薬でしょう。
前述のようにこれは、痛い所に直接刺します。
今回の患者様は肩を回したり後ろに動かすと、肩の前や後ろが痛むという症状でした。そこで、痛むところの何カ所かに注射をしてもらったわけですね。
それでもその時はなんとなく調子がいいけど、次の日になるとまた痛むという状態でした。
まずは、痛む箇所に無血刺絡の刺激を加えます。それでもう一度痛む動きをしてもらいます。しかし、それではあまり症状は変わりませんでした。次に、その痛む部位を支配している首の神経の出口も刺激しました。それでもあまり症状は変わりませんでした。
色々探っていった結果最終的に、痛む筋肉ではなく鎖骨と肩甲骨が交わるポイントと肩峰端という肩の一番外側に刺激を加える事で症状が緩和しました。
あとは、肘の急所と前腕部の硬い箇所を指で押えるだけでも肩の症状が緩和しました。なので肘のツボを使った、自宅でもできるセルフケア方法を指導させて頂きました。
今回の施術では、痛む箇所ではないところを刺激することにより症状を緩和させました。
これというのは、注射をするお医者様は絶対に触らない箇所だと思います。肩が痛いのに肘とかは触れないでしょう。
聞くと、裁縫を趣味でされるそうで前腕部にも大分負担が掛かっていたのですね。その中で、腕をたくさん使うことで肘や肩に影響が出たのだと思います。
「痛む」箇所に原因がなくて、そこから離れた箇所に刺激を加えることにより既存の痛みの症状が緩和することは結構多くあります。
痛むところ以外の場所を施術して症状が緩和することを嘘だと思ったり、単なる暗示じゃないのと思ったり、できたとしても全世界でほんの一握りのゴットハンドの持ち主しかできないんじゃないのと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、患者様の辛い症状を少しでも軽減したいと真剣に思えば思うほど、自ずと施術部位は痛む局所から遠ざかっていくものです。
臨床の現場に立って13年ほど経過し、治療院を開業して4年目になる僕はそう思います。