乳癌、子宮頸癌の疫学
乳癌は、日本人女性の罹る癌の中で最も多いです。
その割合は9人に1人です。
子宮頸がんは、20から40代の女性に多いです。
受診率
乳癌→47.4%
子宮頸癌→43.6%
受診率は共に低いです。
その背景は主に、自分は大丈夫という過信と、怖くていけないという恐怖回避です。
乳癌検診
対象者→40歳以上
間隔→2年に1回
項目→問診、乳房X線(マンモグラフィー)
若年者の乳癌検診
検診により死亡率減少が確認できているのは40歳以上です。
40歳未満で乳癌検診による死亡率減少効果は不明なため、推奨されていないのが現実です。
40歳未満での乳癌罹患は0.5%とかなり低いです。
乳癌にかかる割合2020年
〜39歳→0.5%
〜49歳→2.4%
〜59歳→4.4%
〜69歳→67%
〜79歳→8.8%
※公益財団法人 癌研究振興財団 癌統計2025より
マンモグラフィー検査
先進諸国で採用され、ポピュラーに行われています
放射線量は比較的小さく、石灰化を見つけるための検査。
「石灰化」は悪性、良性どちらにもある。
とりあえず、石灰化を見つけるのが基本。
なぜ超音波検査を行わないのか?
エコー検査は、乳房の表面から超音波を当てて反射の様子から病変の有無を調べるものです。
被曝と痛みがないのが利点ですが、これだけでは死亡率減少効果が不明なためまだわからないのです。
現在では、マンモグラフィー検査で異常が見つかった時に超音波検査を行います。
乳癌のリスク
毎日の飲酒や閉経後の肥満はよくありません。
そして、遺伝性のタイプもあります。
血縁者に乳癌経験者がいる、胸の形が変わってきた場合は注意が必要です。
後者の場合はすぐに病院へ。
子宮頸癌
対象→20歳以上
間隔→2年に1回
項目→問診、視診、子宮頸部の細胞診、内診
追加項目→30歳以上は5年に一度HPV検査も行う。
HPV(ヒトパピローマウイルス)とは
子宮頸癌の患者さんの90%からヒトパピローマウイルスが検出されています。
主な感染経路は性行為です。
基本的に性交により感染しますが90%は免疫機能により排除されます。
しかし、排除されず2年以上感染が続くと細胞が変化して癌化するのです。
検査は、子宮頸部の細胞を採取してDNAとRNAを調べます。
陽性であれば、精密検査を受けます。
陰性ならば、5年に一度の検診となります。
タイミング
子宮頸がん検査は、月経中と月経直後は避けて、終わって3〜7日後がよいとされます。
妊娠中でも検査は可能です。
子宮頸がんの好発年齢と治療
20代から起こり始め、40代でピークを迎えて減少します。
子宮頸部は割と浅い部分にあるため、検査の際に前癌病変の段階で発見しやすいのです。
治療は日帰り手術です。
子宮を完全に残せるため、妊娠出産は可能です。
しかし、癌が子宮の粘膜から少しでも浸潤している場合、子宮を全て摘出せねばなりません。