我々の身体には汗の通り道、すなわち汗腺が200万から500万個もあるのです。
汗腺について。
汗は真皮層にある汗腺で作られて汗の通り道を通って皮膚表面に出てきます。
汗には体温調節機能があります。蒸発する際に周囲の熱を奪うという、気化熱の原理です。いわば皮膚表面の打ち水といえます。
なぜ汗疹(あせも)ができるのか?
あせもの事を汗疹といいますが、これは汗腺から出た汗が、汗の通り道を通って皮膚上に出る際に出口が塞がれていて停滞する事で起こります。
停滞した汗によって、皮膚表面が盛り上がり炎症を起こすことで痒みや痛みを起こすのです。
汗の成分。
そもそもですが汗とはなんなのか?汗の99%は血液から生じた水分(血漿)です。汗は血液か作られるのです。そしてそれにカリウム、ナトリウムなどの電解質が混じって汗となるのです。アンモニアや尿素などは元々血液から抽出した血漿の中に入っています。
そして汗は基本的に外に出ていくものです。それが皮膚内部に長く留まる事で、身体の免疫細胞が異物とみなして攻撃する事で炎症が起きるのです。
子供は汗疹が多いが高齢者は少ない理由。
汗疹は赤ちゃんや子供が多いです。なぜなら小さいうちは汗腺や汗の通り道が成熟していために汗が詰まりやいのです。
汗疹は10代をピークにだんだん起きなくなっていきます。特に高齢者は汗をあまりかかないので汗疹になりにくいです。
ほったらかすとどうなるか?
汗疹をもったらかしておくとその部位がかぶれてきます。これを汗かぶれといいますが、首、脇の下、お尻、鼠蹊部、関節の曲がる部分など、シワがよって乾燥しにくいところがかぶれやすいです。
対処法。
汗疹にしても汗かぶれにしても、起きないようにするためにはまず、普段から汗をかき慣れておく事です。
汗の出口が詰まる事で汗が停滞して炎症を起こすわけですから、汗の出口を常に開けておく事が大切なのです。
そして、汗をかいたらシャワーなどで洗い流す、タオルやウェットティッシュで拭き取るのです。
汗は決して混じりっ気のない美しい液体ではありません。
上述のように、アンモニア、尿素、塩分など色々入っています。そのような液体を放置しておいていいわけがないという自覚を持つ事が汗疹防止の第一歩だと思います。
それでも、もしも汗疹を起こしてしまったらなるべくそれ以上汗をかかないような環境に身を置くようにして、ひどい場合は病院で薬をもらってきて下さい。
汗疹は悪化すると人に移す病となる。
汗疹で怖いのは、汗かぶれを起こして傷んだ皮膚から黄色ブドウ球菌が入り込んで膿んでしまい、しかもその滲出液があちこちにつく事でその部分もかぶれて膿んでしまうという、伝染性膿痂疹(とびひ)を起こしてしまう事です。これは、他人にも移ります。
汗と金属アレルギーの関係。
金属アレルギーは汗と関係があります。金属アレルギーは汗をかく夏に多いのです。指輪やネックレスなどの金属成分が汗に移って皮膚に密着する事で炎症を招く事があるのです。
金属のアクセサリーに含まれるニッケルやコバルトは、汗に含まれる塩分と反応する事でイオン化し、それに免疫反応が起きてしまう事で炎症が生じるというメカニズムになっています。
アクセサリーをつけてスポーツをしたり、高温多湿のところにいると金属アレルギーは起きやすいです。
金属アレルギーは、皮膚科でどの金属成分に特に反応するか調べる事ができます。
汗をかかない事はいい事ではない。
たまに、汗をあまりかかないという方がいます。これはあまりいい事ではないのです。
なぜなら、体温調節がなされにくくなったり、熱がこもりやすくなり、皮膚の乾燥やバリア機能の低下にもつながります。
なぜ汗をあまりかかないのかというと、普段からエアコンが効いた快適な環境に身を置きすぎている可能性があります。
ある程度、運動したりお風呂に少し長めに入ってわざと汗をかく事、汗をかく習慣をつける事で汗腺は動き始めます。必要があればきちんと機能するようになるでしょう。